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 被災地で建設が進む災害公営住宅で、入居者の高齢化が課題になっている。宮城、福島両県が入居者の動向を試算したところ、今後10年間に3割にあたる計6700戸で被災者が退去する見通しになった。被災者の住宅確保と将来の負担とのジレンマを、自治体は抱える。

 東北3県で計画されている災害公営住宅は、宮城県1万6千戸、福島県8千戸、岩手県5700戸の計約3万戸。3月末までに8割強が完成する見通しだ。

 だが、入居者の高齢化率を公表している宮城県によると、65歳以上の入居者は38・4%(昨年10月時点)。宮城県民の高齢化率より12・8ポイント高い。

 災害公営住宅は自宅の再建が難しい人に提供される賃貸住宅。入居後に別の住まいを見つける人のほか、死亡や施設に入るなどして退去者が増えてゆく。すでに宮城県では1月末までに269戸で退去している。

 3県は住宅全体の需給計画をたてる中で、災害公営住宅の動向を試算した。2016~25年に、宮城は36%の約5800戸、福島は11%の900戸の被災者が退去すると分析した。岩手は「公表段階ではない」として明らかにしていない。

 空き室になると、ほかの被災者向けに募集し、希望者がいない場合は、一般公営住宅として募集する。

 ただ、震災後に大量に建てられたため、いずれ供給過剰になる恐れがある。宮城県の石巻市では、震災前に1300戸だった市営住宅が6千戸に、気仙沼市では500戸から2600戸に増える。5倍前後の増加だ。人口減少が進む地域のため、「10年たつ前にかなりの空きが出そう」(気仙沼市)との見方もある。

 公営住宅は、入居者の使用料(家賃)で補修や管理などの費用をまかなうのが基本だ。空き室が増えると自治体の財政を圧迫する。(編集委員・石橋英昭