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 6日に韓国で開幕した第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。1次リーグの話題の中心は、A組のイスラエルの快進撃だ。開幕戦で韓国を相手に延長十回で2―1で競り勝つと、7日の台湾戦は20安打15得点と打線がつながり快勝した。

 本戦出場は初めてだけに、下馬評は低かった。国で野球が始まったのは1970年代で、米国からの移民が伝えたといわれる。国内にプロリーグはあるが、2007年に始まったばかり。世界ランキング41位は参加16チーム中最下位だ。

 韓国、オランダが同組のため、1次リーグ敗退が濃厚と予想されたが、2連勝で突破。ウェインスタイン監督は涼しい顔で、米メディアなどに「われわれはとても力のある集団。選手たちがよくやってくれている」と話している。

 強豪チームに張り合えているのは、WBC独特の出場資格が関係している。選手が出場するその国・地域の出身でなくても、両親の1人でも出身、または市民であれば資格が得られる。イスラエルは1次リーグ登録の28人中27人が米国生まれのユダヤ系米国人。38歳右腕リペツだけがテルアビブ出身だ。

 しかも、ほとんどが大リーグ傘下マイナーでプレー経験がある。大リーグのドラフト1巡目で指名された選手は4人いて、韓国戦に先発したマーキーは、通算15年間で124勝。04年にカージナルスで15勝し、ナ・リーグ優勝に貢献した右投手だ。打線には12年にメッツで32本塁打したデービスや、俊足と好守が売りで大リーグ通算598試合出場のフルドらがいる。

 選手だけではない。スタッフにも「大リーグ仕込み」がいる。編成担当を務めるアレックス・ジェイコブス氏は、アストロズの現役プロスカウトだ。イスラエル野球協会によると、スカウト経験を駆使して、相手チームの分析や戦い方など、詳細にわたるデータをもたらしているという。

 開幕戦を観戦した大リーグ機構のマンフレッド・コミッショナーは、「韓国がイスラエルに負けたことに象徴されるように、今大会はどこの国が勝っても不思議ではない」と興奮を隠せない。生まれ故郷ではなくても、誰もが家族のルーツがある代表ユニホームに誇りを感じ、プレーしている。主軸のデービスは、WBC公式サイトに「自分たちが活躍すれば、国の野球振興に役立てるかもしれない」と語っていた。(遠田寛生)