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 広島市内の銀行内に置き忘れてあった封筒から現金約6万7千円を抜き取ったとして、窃盗罪に問われた元中国放送アナウンサー煙石博(えんせきひろし)さん(70)の上告審判決で、最高裁第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は10日、懲役1年執行猶予3年とした一、二審判決を破棄し、無罪を言い渡した。

 煙石さんは2012年、銀行で女性が記帳台に置き忘れた封筒から現金を盗んだとして逮捕、起訴された。煙石さんは一貫して無罪を主張。一、二審判決は、封筒に現金があったという女性の証言と、防犯カメラの映像で記帳台に近づいたのは煙石さんだけだったことから、有罪とした。

 第二小法廷は、一、二審判決について「封筒内に現金があったことを前提とし、窃盗をしていない可能性を強く示す客観的事情を軽視した」と批判。防犯カメラの映像では煙石さんが封筒を手に取った場面が確認できないことや、女性の証言の信用性が高いとは言えないことなどから、「一、二審判決は不合理で、犯罪の証明が十分ではない」と結論づけた。

 判決後に東京都内で会見した煙石さんは、笑顔を見せつつも「本当に突然降りかかってきた。私だけの問題ではない。悔しい思いがいっぱいですが、普通の生活に早く戻れれば」と話した。

 最高検は「主張が認められなかったのは遺憾だが、最高裁の判断なので真摯(しんし)に受け止めたい」との談話を出した。

 最高裁によると、07年以降で、一、二審とも有罪とした判決を最高裁が破棄し、差し戻さずに無罪としたのは煙石さんで10人目という。(千葉雄高、久保田侑暉)