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 身近になってきた拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を防災に生かす取り組みが広がっている。見慣れた風景が一変することで、単調になりがちな防災訓練を打開したり、東日本大震災の被害を語り継いだりするのに効果を上げている。

 東京都三鷹市の市立第七小学校での防災訓練。ゴーグルを持った児童らがしゃがみながら廊下を歩く。ゴーグルの中では、廊下に充満した火事の煙が再現され、手探りで歩く児童らは互いにぶつかり、足が止まることもある。校庭では、首もとまで水没する疑似体験をARで味わった。

 2月末にあった訓練に参加した辻本真歩さんは「煙で何も見えなくなって怖かった。水没体験では、がれきが流れ、他の人を助けられる余裕はない」と話す。

 東京都の小学校は毎月、防災訓練を実施する決まりだ。第七小の吉村達之校長によると、抜き打ち訓練など工夫を凝らしてきたが、ややマンネリ化。「いかに実感をもってもらうかが課題だった」と話す。昨年からARを取り入れ、「反応が段違い。もっと普及したらいいと思う」と驚く。

 このARアプリを開発したのは愛知工科大学の板宮朋基准教授だ。画像処理が専門で、災害研究とは無縁だったが、東日本大震災をきっかけに「情報分野でも貢献ができるはずだ」と考え、開発に乗り出した。

 アプリでは煙や水のリアルな動き方にこだわった。風景に重なって表示される煙は本物と同様、上にこもったように見える。水は人や建物を映しながらゆらめく。リアルな表示によって、火災が起きた際に体を低くして避難する必要性を覚え、津波や水害による被害を目の当たりにできる。

 学生らを対象に調べると、ハザ…

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