[PR]

 土曜日の夕方、近くのスーパーに行った。その日は1割引きの日ではなく、客も少なめ。ブラッと歩き、魚売り場ものぞいてみた。カニはなかった。水ガニも紅ズワイも、松葉も親ガニも。

 鯛(たい)(鳥取産)はあった。「祝卒業、めでたい日に鯛ご飯」とあった。「米二合、うす口醤油(しょうゆ)大さじ一杯半、お酒3杯、コブ3cm×5cm1枚、塩適量」。ちょっと小ぶりだが、1匹166円、100グラム当たりの値(以下☆印)も表示されて78円、安い。昔、鯛は高級魚、今は違う。「海老(えび)で鯛を釣る」は今や「鯛で海老を釣る」か。モサエビはなかった。モサは、刺し身も焼きも天ぷらもいいのに。鯛の横にのどぐろ(島根)があった。小ぶり、1匹529円(☆398円)。鯛の5倍の値!

 生き生きの真鰯(まいわし)(兵庫)は2匹で236円(☆118円)。沖いわし(石川)も生きがよく、4匹で429円(☆98円)。名は同じいわしでも味は青魚、白身魚で大違い。もっと生きのいいのがいた。白ハタ(鳥取)、295円(☆59円)。冬の鳥取の味覚。白イカ小(長崎)は492円(☆168円)。隣に山ガレイ(島根)、190円(☆58円)。海がすみかなのに山のカレイってちょっと変。ま、いいか。安い。赤カレイ(鳥取)は206円(☆68円)。まだ並ぶ。中あじ(島根)は631円(☆168円)、かなりの値。鯖(さば)(千葉)は1匹298円。隅に、大きな本ガレイがいた。旬が去ったか、1匹300円。「持ってけ泥棒!」とばかり、どーんと寝ていた。ゼラチンで身を包んだ、白身魚のドギ(☆の予想30円以下)が並んでいたら、もっとにぎやかだったな、と思った。

 冬の星座がゆっくりと春の星座に変わっていくように、スーパーの魚売り場の星たちもゆっくりと変わっていく。

<アピタル:野の花あったか話>

http://www.asahi.com/apital/column/nonohana/(アピタル・徳永進)

アピタル・徳永進

アピタル・徳永進(とくなが・すすむ) 野の花診療所医師

1948年鳥取市生まれ。京都大学医学部卒業。京都、大阪の病院・診療所を経て、鳥取赤十字病院の内科医に。2001年12月、鳥取市内にてホスピスケアのある有床診療所「野の花診療所」を始め、さまざまな死の形を臨床から報告。鳥取市にセミナーハウス「こぶし館」を建築し26年になる。

こんなニュースも