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 関西を拠点に時代を切りひらく新進気鋭の方たちを顕彰する第8回朝日21関西スクエア賞に、象徴天皇制を研究する歴史学者の河西秀哉・神戸女学院大准教授(39)と、腸内細菌から動物の進化を研究する生物学者の土田さやか・京都府立大特任助教(34)が選ばれました。それぞれの研究活動の現場を訪ねました。

腸内細菌 進化の謎迫る

 野生動物の腸内細菌の研究は人を選ぶ。目当ての動物を生息地で追いかけ、できたての糞(ふん)を得なければ研究は始まらない。細菌学の実験技術はもちろん、野外生活の能力も欠かせない。そんな分野で土田さやかさんは業績をあげ、頭角をあらわした。

 動物の宝庫、アフリカは10回ほど訪れた。2回目はゴリラを探し、同行者が「あそこ」と指さす十数メートル先のやぶで、野生の姿を目の当たりにした。「じっと見ていたら、手のひらに顔を乗せた姿が急に浮かび上がった。興奮してアドレナリンが出ました」

 腸内細菌のほとんどは酸素に弱く、空気に触れると死んでしまう。だから、その採取は時間との戦いだ。温度管理も難しく、培養皿にどんな栄養を加えるのかも手探りだ。

 これまでに菌をとった動物は約30種類。野生ゴリラから、ゴリラ特有の新種の乳酸菌を発見し、腸内細菌から動物の進化を探る研究に光をあてた。アフリカではチンパンジーやゾウなどを追い、菌の分離に成功。国内では、絶滅危惧種のライチョウを求めて年2回、北アルプス・立山に登る。

 父親は医師だった。家には医学書が多く、子どものころから手にとっては眺めていた。中でもお気に入りが寄生虫や細菌の教科書。奇妙な見た目、生き方に不思議とひかれた。

 腸内細菌の研究は学生時代、研究室で飼っていた齧歯類(げっしるい)のチンチラで始めた。新種だと思った菌が、実験動物のネズミにもいたことを知って落胆したとき、「野生だったらどうだろう」と疑問が湧いた。これが転機になり、この道の第一人者、牛田一成・京都府立大教授の研究室に移った。

 腸内細菌は食べ物の消化を助け、免疫や神経にも作用する。近年、病気との関わりが相次いで明らかになり、医療に役立つ研究を求める声が強い。だが、土田さんの興味は「共生」と「進化」にある。「ゴリラで見つかった菌が、なぜチンパンジーやヒトにいないのか。腸内細菌から進化の新たな足取りが分かるかもしれない」

 ライチョウからは、植物の毒を分解する能力が高い菌を見つけた。ライチョウが食べ物の乏しい自然環境を生き抜くためには、こうした腸内細菌が不可欠な可能性が出てきた。環境省が進めるライチョウの人工飼育では、将来野生に放つことを見据えて、こうした知見を生かす研究も始まった。(阿部彰芳)

     ◇

〈つちだ・さやか〉 愛媛県生まれ。2008年、日本獣医生命科学大を卒業。10年に京都府立大博士後期課程に入る。現在は京都府立大特任助教。

象徴天皇制 変化を追う

 米国出身の建築家ヴォーリズが設計した神戸女学院大学(兵庫県西宮市)。3月初め、その美しいキャンパスの中にある河西秀哉准教授の研究室を訪ねた。

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