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 病気に対する標準的な治療をまとめた「診療ガイドライン」に患者の意見を反映させるため、学会などによるガイドライン作りに患者が参加するケースが増えている。医師と一緒に治療方針を決めていくには、患者や家族の側も情報を正しく理解する必要がある。

■副作用・コストを考慮

 1月下旬、都内であった日本肺癌(がん)学会の診療ガイドライン作成のための会合。学会の医師らに交じって、肺がん患者で「日本肺がん患者連絡会」の代表、長谷川一男さん(46)の姿があった。学会からの要請でガイドライン作りに参加した。「患者のためになるような結果を残したい」という。

 肺がんの治療は、免疫チェックポイント阻害剤など新薬の登場で、選択肢が広がっている。今秋のガイドライン改訂に向けた作業に患者や看護師、薬剤師が初めて加わった。専門医らによる薬物療法の評価に対して、それぞれの立場から意見を述べていく予定だ。

 がんの治療では患者一人ひとりの要望や生活に合わせた治療の選択が求められる。作成に関わる九州がんセンターの瀬戸貴司医師(呼吸器腫瘍(しゅよう)科)は「医師は命を延ばすことを治療の目的にしがちだが、副作用や治療にかかるコストなどを総合的に判断するには患者の視点が必要」と語る。

 日本医療機能評価機構の調査によると、2014年までに発刊され、根拠になった論文の選択基準が明記されているかなど国際的な基準を満たすと認められたガイドライン166件のうち、21件(13%)で患者らが作成に関わっていた。

 その一つが、日本リウマチ学会が14年に発表した関節リウマチの診療ガイドラインで、患者団体「日本リウマチ友の会」が作成に協力した。同会は全国各地に支部があり、活動の中心を担う役員らが患者からの電話相談にも乗る。個々の治療法の推奨度を決めるガイドライン作成の会議に役員3人が参加、十数人の専門医らと同じ権限で投票したという。

 作成に当たって、同会の協力で2千人以上の会員を対象にアンケートも実施。リウマチ治療では生物学的製剤と呼ばれる高価な新薬を使う患者が増えている。患者からは「安くしてほしい」「公的補助の充実を」など治療費に関する悩みが多く寄せられ、結果はガイドラインに掲載された。

 リハビリ治療に関する解説文には調査結果などから、「アンケートなどで強い患者のニーズが明らかになった」といった文言も盛り込まれた。ガイドラインの作成分科会長を務めた東京女子医大・膠原(こうげん)病リウマチ痛風センターの山中寿所長は「医師は薬での治療に目が行きがちだが、リハビリを重視する人もいるという患者さんのメッセージになった」と話す。

■主治医と話す材料に

 診療ガイドラインには標準的な治療の選択肢やその推奨度が載っている。通常は医師が読むことを想定して書かれており、専門用語も多い。ただ、サイトで公表されたり、市販されたりしているガイドラインもあり、読みこなすことができれば、自分が受ける治療の位置づけを客観的に知ることができる。肺がんのガイドラインに関わる瀬戸さんは「医師向けなので読みにくいとは思うが、なぜその治療を受けるのかを確認したり、主治医と話し合ったりするためのツールになればうれしい」と話す。

 日本医療機能評価機構が運営するサイト「Minds」(http://minds.jcqhc.or.jp/n/top.php別ウインドウで開きます)では「筋・骨・関節」「腎臓・泌尿器」などの部位別に診療ガイドラインの一部を公開。要点を患者向けに説明した解説なども掲載している。

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