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京都拠点の能楽師:金剛龍謹(こんごうたつのり)さん(29)

 端正な顔立ちに、凜(りん)としたたたずまい。能楽で5流あるシテ方(主役などをつとめる職掌)のうち、唯一、京都を拠点とする金剛流の若宗家だ。鎌倉時代までさかのぼるという金剛流の伝統を受け止めながら、新たな歴史を刻むべく修練の日々を送る。

 物心つく前から稽古を始め、気がつけば能をするのが当たり前の日常だった。自分を見つめ直すきっかけになったのが10代半ばのころ。本拠地である金剛能楽堂が老朽化で移転が決まり、舞台に立つ機会が減った。だが、ほかのことをしていてものめり込めない。新しく完成した能楽堂で舞台に立ったとき、自分でも驚くぐらいに興奮していることに気づいた。「やっぱり能が好きなんだと分かりました」

 同志社大を卒業し、2012年に自らが主催する能の公演「龍門之会」を始めた。年1回のペースで舞ったことのない難曲や大曲に挑む。4月2日に行われる龍門之会では、親子の恩愛を描いた能「海人(あま)」を舞う。特殊な型や難しい所作が多い曲で、今回は通常のものとは異なる特殊演出で臨む。

 金剛流は優雅な芸風で「舞金剛(まいこんごう)」と呼ばれる。「金剛流は東京の能に比べると、京都らしい丸みがある。30代になったら、今まで培ってきたことをどんどん舞台に出していきたい」

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〈略歴〉 京都市生まれ。父・永謹(ひさのり)さん、祖父・巌(いわお)さんに師事。5歳で初舞台。京都市立芸大能楽部でも指導。4月2日の公演は午後2時開演。

記者から

 京都らしい物腰のやわらかさの中に、ぶれない芯の強さを感じる。そこがいかにも頼もしい。(文・向井大輔 写真・楠本涼)

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