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 奈良・興福寺に、天平時代の祈りの空間がよみがえった。仮講堂(かりこうどう)で開催中の「興福寺国宝特別公開2017 阿修羅~天平乾漆群像展」は、かつてあった西金堂(さいこんどう)のにぎやかな雰囲気をイメージした群像展だ。

 2009年、全国3カ所の展示で190万人を動員し、人気ぶりが社会現象にもなった阿修羅像。三つの顔と6本の腕があり、すらりとした体形、憂いを含む少年の表情に、多くの人がひきつけられてきた。近年の研究で、体の正面からずれた合掌や、制作過程で変化した顔の表情の秘密も解き明かされつつある。

 もともとインドの神だった阿修羅をはじめとする八部衆(はちぶしゅう)は、仏教に帰依してその守護神になった。いわば、お釈迦様を守るボディーガードの8人組だ。

 鎌倉時代の「興福寺曼荼羅(まんだら)図」には、西金堂の本尊・釈迦如来を囲むように、八部衆像や十大弟子像が描かれている。西金堂は江戸時代に焼失したが、八部衆像8体と十大弟子像のうち6体(いずれも奈良時代、国宝)は寺で守り伝えられた。

 今回は、鎌倉時代の作で国重要文化財の阿弥陀如来像を中心に26点を集め、曼荼羅図の世界を再現した(国宝の天燈鬼(てんとうき)・龍燈鬼(りゅうとうき)像、重文の四天王像は前期のみの展示)。ふだん国宝館に展示されているのとは違い、お堂で本尊を守る本来の使命を帯びた像たちは、心なしか生き生きとして見える。