【音声】辻邦生が朗読する「安土往還記」。日本近代文学館の「第12回 声のライブラリー」(1998年2月14日、石橋財団助成)から
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■文豪の朗読

《辻邦生が読む「安土往還記」 本郷和人が聴く》

 夏の一夜、城下の人々は大殿(シニョーレ)の命により、すべての灯(あか)りを消し、息を潜めていた。やがて烽火(のろし)が上がると、一斉に火が掲げられ、城郭の全貌(ぜんぼう)が照らし出された。同時に黒装束の騎馬武者たちがたいまつを点(とも)し、竜がうねるように宣教師館へと走り寄る。その中には、日本を離れる巡察使ヴァリニャーノに別れを告げる、大殿自身の姿があった。

 暗闇の漆黒と瞬時に燃え上がる…

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