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 最近外来で、目の色がやけに鮮やかで、よく見るとカラーコンタクトレンズをしている若い女性を見かけることがあります。私は眼科が専門ではないのですが、思わず「コンタクトレンズはどのくらい着けていますか?」「ちゃんと洗っていますか?」と聞いてしまいます。

 それは「アカントアメーバ角膜炎」という、目の感染症が気になるからです。寄生虫であるアメーバというと、発展途上国の汚染された飲食物や性行為感染症でかかる「アメーバ赤痢」が有名ですが、角膜炎を起こすものは少し種類が違います。

 アカントアメーバは日本の水道水や土壌などあらゆる環境に生息しています。ただし、健康な人が少し接触しただけではとくに病気を引き起こすことはありません。アカントアメーバは、一つのコンタクトレンズを長期間使用したり、不衛生な扱いをしたりすることで増殖し、角膜炎の原因となります。特効薬はなく、最悪の場合は失明する危険性もあります。

 愛媛大学眼科学教室の調査によると、全国の大学病院眼科において2009年には年間155人がアカントアメーバ角膜炎と診断されました。感染する人の多くは、2週間使用のソフトコンタクトと中和剤を入れないMPS洗浄液の使用者と言われています。

 近年は、眼科医による啓発活動によって発症は減少傾向にありますし、1日使用タイプのコンタクトレンズではまず心配ないのですが、若者が長期間使ったりするカラーコンタクトレンズを見ると気になってしまいます。

 予防するためには、MPS洗浄液やレンズケースの取り扱いが重要です。多くのMPS洗浄液は基本的に消毒効果が弱く、カビやアカントアメーバに対しては消毒効果がありません。ですから、MPS洗浄液で管理する場合は、しっかりとよく洗った手で最低20回以上はレンズをこすり洗いして、微生物を含む付着物を「洗い流す」ということが重要なのです。

 しつこいようですが、レンズを扱う前の手洗いもせっけんでしっかりやらないと微生物をこすりつける行為となってしまいます。また、MPS洗浄液の継ぎ足し使用も厳禁です。時間のたったMPS洗浄液の中ではすでに微生物が増殖を始めています。レンズケースも毎回よく洗って、乾かすことが重要です。

 煮沸消毒をしない限り、水分のあるところには必ず微生物が生き残っています。同じレンズケースを数カ月以上使用すると、内側に目に見えないぬめりが残ってしまい、そこで微生物が増殖しやすくなりますので、数カ月に1回は新しいものに交換しましょう。

 ファッションとしてカラーコンタクトレンズを使っている人は、感染症の危険性と、それを予防するためには結構大変なメンテナンスの必要があるということをぜひ知っておいてください。

<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/(弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座准教授 齋藤紀先)