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 日本銀行はきょう16日の金融政策決定会合で、政策の「現状維持」を決めた。午後3時30分からの黒田東彦(はるひこ)総裁の記者会見での注目ポイントは、異例の金融緩和からの「正常化」への言及が初めてあるかどうかだ。

 黒田総裁は5年間の任期が残り1年となった。異次元緩和と銘打った量的緩和政策やマイナス金利政策を繰り出してきたが、物価上昇率は「2%」に届かず、緩和を縮小する「出口」はまったく見えない。それどころか、ひとたび円高・株安などのショックがあれば、緩和強化に動こうと構えている状況にある。

 日銀は今回、政策を現状維持としたが、本当の意味での現状維持とはいえないだろう。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は、日銀決定の直前の15日、追加利上げを決めた。欧州中央銀行(ECB)は国債などの毎月の買い入れ規模を今後減らす方針だ。欧米では中央銀行による異例の量的緩和政策を正常化する動きが強まっており、日銀は異常な領域に取り残されつつある。

 特にFRBの利上げは、昨年12月以来3カ月ぶりで、量的緩和政策からの「正常化」の局面では3回目となる。日銀は長期金利を「ゼロ%程度」に抑えたままで、日米の金利差はさらに広がる。日本の株式市場関係者には、金利が高いドルが買われて円が売られる「円安材料」として、日本の輸出産業に有利になると歓迎する風潮がある。

 しかし、先進国の中銀の金融政策を見渡したとき、市場に「過剰流動性」と呼ばれる巨大なお金を取り残したままの日銀は、他の中銀よりずっと大きなリスクを抱えている。緩和を縮小する出口の局面で、財政問題や金融政策の機能不全の問題がふりかかる可能性が高いからだ。

 出口に向けた正常化の問題は、FRBのイエレン議長やECBのドラギ総裁の記者会見ではふつうに語られている。しかし日銀の黒田総裁は、会見で質問があっても、「議論するのは時期尚早」の一点張りで、具体的な言及を避けてきた。

 黒田総裁の任期中に、緩和策の出口に向かうことができるのかは極めて疑わしくなってきている。これまでの記者会見は、黒田総裁が「説明しないこと」を確認するだけの場になってしまっていた。任期満了まであと1年となったタイミングで、黒田総裁の説明ぶりが変わり、正常化に向けた考えについて言及するのかどうか。きょうの会見での大きな注目点だ。(編集委員・原真人

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