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 お寺の経済基盤が揺らいでいます。人口減で檀家(だんか)が減り、葬儀や法事の簡素化は進む一方。税を優遇される宗教法人に対する目にも厳しいものがあります。そんななか、悩めるお寺の住職たちにとって「駆け込み寺」のような塾があります。お寺を運営する心得やノウハウを教科書で学び、ディズニーランドの経営哲学も参考にします。いったい、どんな塾なのでしょうか。

 昨年11月、東京タワーを望む都心の寺で15人ほどの僧侶が一心に電卓をたたいていた。一般社団法人「お寺の未来」が開く「未来の住職塾」の塾生たちだ。

 この日のテーマは「財務」。コンサルティング会社勤務を経て、「お寺の未来」代表理事を務める井出悦郎(37)が講師役だ。架空の寺の財務諸表を元に、自己資本比率や損益分岐点の求め方、資金計画を立てる際の考え方を学んだ。

 「住職塾」はお坊さんたちに経営を指南するユニークな塾だ。塾長で浄土真宗本願寺派の僧侶、松本紹圭(しょうけい、37)と講師の井出がまとめた「住職の教科書」で、寺の経営戦略を練るためにマーケティングや経営分析手法、財務などの知識を1年かけて学んでいく。

 卒業課題は、それぞれの寺が「こうありたい」と願う未来の姿と、実現に必要な具体策をまとめた「寺業(じぎょう)計画書」を作ることだ。受講料は約15万円。2012年春の第1期からこれまでに東京や大阪、名古屋、京都などで開催。30近い宗派から住職やその家族ら約420人が参加した。年齢も20代から60代まで幅広い。

 人口減や過疎化で檀家(だんか)が減り、葬儀や法事は簡素化が進む。お寺の経営基盤は揺らいでいる。税を優遇される宗教法人への目も厳しい。「寺業計画書は寺の羅針盤。実行に移してナンボ」と松本は言う。

 講義の中身は実践的でユニークだ。「財務」の回で井出はディズニーランドを引き合いに出した。お寺は伽藍(がらん)や墓などの固定資産(ハード)と宗教的な供養や儀礼(ソフト)を融合させ、人の生き死にの「物語」について価値を提供している。ディズニーは派手なアトラクション(ハード)とショーや接客サービス(ソフト)を高度にバランスよく融合させてファンタジーを提供。お寺と通ずる面があるという。

 01年に開業した東京ディズニーシーの投資では減価償却が一巡。コスト削減効果もあって、大規模投資に向けた局面に入ったと井出は指摘。「お寺も檀家の寄付に頼るばかりでなく、中長期的な資金計画が重要です」と説いた。

 塾の最終回は塾生が寺業計画を…

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