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 稼働中の四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)をめぐり、広島地裁は30日、広島市と松山市の住民計4人が運転差し止めを求めた仮処分の申し立てを却下した。吉岡茂之裁判長は「具体的危険によって住民らの人格権が侵害されるおそれがあるとはいえない」と述べた。住民側は即時抗告する方針。

 吉岡裁判長は、東京電力福島第一原発事故後に原子力規制委員会が定めた新規制基準に適合するとされる原発に対し、運転差し止めを求める仮処分の申し立てが全国で相次いでいることに言及。電力会社側にどの程度の立証を求めるかについて、原発や裁判所によって異なることは「望ましくない」とした。

 その上で福岡高裁宮崎支部が九州電力川内(せんだい)原発の運転差し止め申し立てを退けた際、まず新規制基準の合理性を検討し、「電力会社は基準に適合しているかを説明すればよい」とした決定(2016年4月)に注目。高裁レベルで唯一確定しているこの決定を参照すべきだとした。

 その結果、今回の決定でも新規制基準に「不合理な点はない」と認定。主な争点となった、想定される地震の揺れ(基準地震動)について、四電は詳細な地盤調査をした▽信頼性のある手法を用いたことなどを考慮し、基準に適合するとした規制委の判断にも不合理な点はないと認定した。

 一方で基準地震動における四電の一部想定には、「慎重な検討を要すべき問題がある」と指摘。しかし検討には専門家の証人尋問などが不可欠で、原則それがない仮処分手続きにはなじまないとも言及した。

 また住民側が主張した、津波や火山灰の危険性についても規制委の判断に不合理な点はないとし、「安全性は不十分で生命、身体に危険がある」と訴えた住民側の申し立てを退けた。

 却下を受け、四電は「安全性は確保されているとの主張が認められたもので、妥当な決定をいただいたものと考えております。今後とも、安全・安定運転に向け、努力を重ねてまいります」とのコメントを発表した。(久保田侑暉、釆沢嘉高)

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