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 中国やインド、ロシアなど新興5カ国の共同出資で設立された「BRICS(ブリックス)開発銀行」(正式名・新開発銀行=NDB)が1日、ニューデリーで年次総会を開いた。今年の融資額を昨年から倍増させる方針を打ち出したが、5カ国の足並みはそろっていない。

 インド出身のカマト総裁は総会で「今年は15のプロジェクトに約25億~30億ドルを融資する」と表明。中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)などと協力する覚書も締結した。

 「今年は7%超の高成長が見込まれている」。インドのジャイトリー財務相は5カ国で唯一の7%台の経済成長率を誇ったが、ロシアやブラジルは足元でマイナス成長に落ち込んだ。南アフリカもふるわない。カマト氏は「新興国経済は昨年より回復基調になる」とみるが、経済の減速や各国の利害対立がNDBの運営に影を落としている。

 持ち直してきたとはいえ、原油価格の下落は資源輸出国のロシアやブラジルの経済を低迷させた一方、原油輸入国のインドにとっては恩恵が大きい。世界経済を牽引(けんいん)してきた中国は内需に陰りがみえ、輸出拡大を目指しているが、インドは安価な中国製品の流入に反発している。中国にNDBの主導権を握られることを懸念し、5カ国の出資割合が均等になった経緯もある。

 NDBは、途上国の開発を後押しする組織をBRICS主導でつくり、需要が旺盛な新興・途上国のインフラ整備などに融資する狙いで2015年に設立された。BRICSという枠組みは00年代前半に世界経済の成長株として注目されたことが発端だった。インドの政策研究所のカシュヤプ・アローラ研究員は「高成長という共通項が失われ、BRICSの存在意義が問われている」と話す。(ニューデリー=奈良部健)

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