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 おたふく風邪(ムンプス・流行性耳下腺炎)の患者数が例年より多い状態が続いている。子どもに多く、よく知られているため軽く考えられがちだが、治療法がない「ムンプス難聴」など、深刻な合併症を発症することもある感染症だ。日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会は、ムンプス難聴の患者が増えているとみて、全国の医療機関を対象に調査を開始。専門家は予防のため、ワクチン接種を呼びかけている。

 東京都内の小学5年の男児(10)は昨年8月末、「耳の下が痛い」と訴え、かかりつけの小児科にかかった。熱は38度程度。腫れはそれほどなく、診断はおたふく風邪ではなかった。男児の父親(50)は「あまり深刻に考えなかった」と振り返る。

 再び耳の下が痛み始め、受診から約10日後、総合病院でおたふく風邪とわかった。自宅で数日寝ていたが、ほとんど起き上がれず、何度も吐く状態が続いた。この頃、男児は「右の耳がキーンとして何も聞こえないよ」と訴え始めた。最初の症状から約2週間。総合病院に入院し、医師の説明に両親は頭が真っ白になった。「難聴になりました。完治は難しいです」

 母親(48)は「おたふく風邪で難聴になるとは知らなかった。ワクチンを受けさせておけばと思うと、かわいそうなことをした」。男児は複数の人が同時に話すと聞き取れないことがあるという。

 長野県内の中学3年の男子生徒(14)もおたふく風邪にかかった後、8歳で右耳が難聴になった。「おたふく風邪は、一度どこかでうつればいいものだと思っていた。一定の比率で難聴になるとわかっていたら、ワクチンを受けていた」と母親の女性(46)は話す。生徒もおたふく風邪のワクチンは受けていなかった。

 おたふく風邪はムンプスウイルスがせきやくしゃみ、接触でうつる。唾液(だえき)を作る耳下腺の腫れや発熱が特徴。合併症は難聴のほか、無菌性髄膜炎や膵炎(すいえん)、精巣炎、卵巣炎などがある。

 国立感染症研究所によると、合併症の中では無菌性髄膜炎が比較的多く、患者のうち1~10%。発熱、頭痛、嘔吐(おうと)の症状が出る。脱水症状が出るため、入院が必要になることもある。

 一方、難聴の発症率は0・1~0・25%。国立病院機構三重病院などの研究で、患者は年間840~2100人に上ると推計されている。

 おたふく風邪は定期的に流行を…

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