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 23日投開票の名古屋市長選の候補者たちは、公約や演説だけでなく、独特のパフォーマンスで有権者の心をつかもうとしている。現職の河村たかし氏は地元球団のシールを貼ったヘルメットでアピール。新顔の岩城正光氏は得意のダンスでイメージチェンジを図る。

 「まあ、わしも68になりまして、自転車でヘルメットかぶらないかんようになりまして」。河村氏は9日の市長選第一声で、ぼやいてみせた。

 名古屋市は1日、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を施行。「交通事故の被害軽減」のため、65歳以上の利用者はヘルメットの着用が努力義務になった。

 自転車遊説は、衆院選を戦ったころから続ける河村氏のトレードマーク。3月には、条例案を審議した市議会委員会で「市が提案する以上、市長には野球帽じゃなくてヘルメットをかぶってもらわないといけない」と釘を刺された。

 河村氏は市長選を前に、自転車用のヘルメットをネット通販で購入。これまで中日ドラゴンズの帽子を積極的にかぶってきただけに、正面に球団マスコット「ドアラ」のワッペンを貼り、両側にはドラゴンズのシールを貼り付けた。

 陣営は議会の指摘を逆手に取るように、ヘルメット姿を積極的にアピールして浸透を図る。本人の街頭演説の前後には、陣営の市議がマイクで「新しい条例をPRするため、市長は率先してヘルメットをかぶっています」と強調している。河村氏がヘルメットをかぶらずに街頭演説したときは、聴衆から「今日はヘルメットはないの?」と聞かれる場面もあった。

 「いわき、いわき、いわき、まさてる」。岩城氏は9日の出陣式では、アップテンポの曲に合わせダンスを披露した。

 オレンジのジャンパーを羽織った岩城氏は、次女や支持者で結成された「岩城ガールズ」の中央へ進み出ると、軽やかにステップを踏み、名前が連呼される曲の終盤は「正拳突き」を繰り返す。「勝った」とばかりに右腕を突き上げるポーズで締めくくり、拍手を浴びた。

 3月の事務所開きでも踊った「いわきダンス」は、本人の発案だ。支持者につくってもらったプロレスラーの入場曲のようなテーマソングに「踊りが付けられないか」と考えたという。

 狙いは、「まじめすぎるが故に地味」(陣営市議)と言われるイメージの一新だ。岩城氏自身も「河村さんの親しみやすさは抜群。キャッチフレーズも一度聞いたら忘れない」と、河村氏に知名度で後れを取っていることを認める。キャラクターの面でも対抗しようと「盆踊りは得意中の得意」という“特技”を生かす作戦に打って出た。

 テーマソングやダンスは、支持者らが動画投稿サイトやSNSに公開している。「歌い、踊ると、みんなと連帯感を持つことができる」と岩城氏。自らが掲げる「市民派」のスローガンにも合致していると説明している。(諸星晃一、関謙次)

◇名古屋市長選候補者(届け出順。丸囲み数字は当選回数。四角囲み政党は推薦)

 河村(かわむら)たかし 68 無現③ 減税日本代表〈減〉

 岩城正光(いわきまさてる)  62 無新      弁護士

 太田敏光(おおたとしみつ)  68 無新   〈元〉トヨタ社員