[PR]

 自らの女性器の3Dデータを配ったなどとして、わいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた漫画家五十嵐恵=ペンネーム・ろくでなし子=被告(45)の控訴審判決が13日、東京高裁であった。秋吉淳一郎裁判長(大熊一之裁判長代読)は、一部無罪で罰金40万円とした一審・東京地裁判決を支持。検察側、弁護側双方の控訴を棄却した。弁護側は即日上告した。

 判決後、東京都内で集会を開いた五十嵐恵被告は「一部無罪」の判決に笑みを浮かべる一方、3Dデータの配布を有罪とした判断に「女性器っぽいからわいせつだ、というところから抜け出せていない。納得がいかない」と不満を漏らした。

 3Dデータは、五十嵐被告が別の作品づくりの資金集めをする際、出資者に謝礼として配られたものだった。弁護側はこうした活動全体が「プロジェクトアート」と呼ばれる芸術だと主張。逮捕、起訴は「表現の自由に対する侵害だ」として争ってきた。

 だが高裁は「そうした芸術分野があるとしても、わいせつ性の判断はデータそのものについてするべきだ」と述べ、一連の芸術活動全体を評価する前に、データそのものについて検討。わいせつ物に当たると認めた。

 島根大の大庭沙織講師(刑事法)は、「作品やデータそのものでわいせつ性を判断する姿勢を、地裁より徹底した。それ以外の事情を考慮すると、作品自体のわいせつ性が高くなくても、展示方法などで逆にわいせつとされる範囲が広がる恐れもあり、今回の判決が判断対象を明確にしたのは妥当だ」と評価した。

 神奈川大の池端忠司教授(憲法)は、高裁判決が一審判決に比べ、憲法の保障する「表現の自由」との関係について踏み込んだ言及をしなかった点を疑問視する。「高裁は、表現の自由の保障のために芸術性、思想性を考慮する議論を、完全にそぎ落とした。美術館で展示される高尚な芸術とは異なる面を持つ現代アートの表現活動に、重い足かせをはめる判決だ」と指摘した。(千葉雄高)