【動画】漫画家・大友克洋さん流「バベルの塔」披露=竹谷俊之撮影
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 「AKIRA」で知られる漫画家・映画監督の大友克洋さんがブリューゲルの名画「バベルの塔」を大胆に解釈した絵画作品「INSIDE BABEL」(インサイド・バベル)が13日、東京都内でお披露目された。原画になかった塔内部に想像をめぐらし、細密な構成で描き出した。

 18日から東京・上野の東京都美術館で始まる「ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル『バベルの塔』展」に合わせて制作された。

 大友さんにとって、ブリューゲルは好きな画家の一人。準備のために、オランダ・ロッテルダムの美術館を訪ねて原画を観察、学芸員にも話を聞いている。

 発表には、共同制作者のコラージュ・アーティストの河村康輔さんが同席、トークショーでは制作の苦労話が披露された。

 大友さんの下絵に、ブリューゲルの絵から抽出した2万個にも及ぶパーツを河村さんが貼り込んでいく作業。「勝手に内部を描いているけれど、どれだけブリューゲルっぽくなるかというチャレンジだった」と大友さん。ブリューゲルの筆のタッチはとても細かく、おおざっぱに当てはめることができなかったという。

 河村さんは「最初は切って貼ってという作業かと思ったけれど、コラージュというよりも絵を描いているよう。とんでもない時間と労力がかかった」と振り返る。

 ざっくりと切り込みを入れられた塔。大友さんは「ぜひ近くで見て、絵の中に入って欲しい」と話した。建設途上の内部でうごめく人々にじっと目を凝らすと、遊び心で加えた趣向も発見できるからだ。

 バベルの塔の物語のなかでは、天に達するほどの塔を建てようとした人間の傲慢さが神の怒りに触れ、人々は建設を断念して散り散りになる。大友さんの代表作「AKIRA」の舞台は、破壊の後に再建された「ネオ東京」。そのストーリーになぞらえ、未完成に終わった塔のその後、「ネオバベル」のような物語を描いてはどうか、という質問も会場から上がった。

 「大変なんでね」と大友さんは笑いながらも、「ブリューゲルの原画は緊張感をはらんでいる。ここまでできあがったものを、壊すのは楽しいだろうな」と応えた。

 ブリューゲルの生きた16世紀は悲惨な出来事も多かったはずだが、直接的に描くことは許されなかったのではないか……。大友さんはこう推測する。「形を変えて、自分の言いたいことを表現するのは漫画家も同じ。今回の作業を通じて、ますます親近感を覚えた」と語った。

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 「INSIDE BABEL」は「バベルの塔」展会期中、東京都美術館ロビー階の企画展示室入り口横ホワイエで展示する。