「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)に展示されている連作絵画「原爆の図」が、虫食いの被害を受け、傷みが進んでいる。虫が和紙の表面を食い進んだ跡が白い斑点や不規則な線となっている。被害は同館所有の14部全てに広がっている。

 「原爆の図」は丸木位里(いり)、俊(とし)夫妻=いずれも故人=の作品。同館は夫妻が1967年に開き、入館料や寄付で運営されている。夫妻の「自然な環境で間近に見てもらいたい」との思いから、作品はガラスケースに入れずに展示してきた。

 館員が虫害を発見したのは2012年。「この2年ほどで急に虫が増え、修復が追いつかない」という。墨と絵の具で描かれた人々の髪や胸、手の部分のほか、余白にも虫害がある。最も被害が深刻なのは第8部「救出」で、右端の虫食いの跡は約20カ所に上る。

 同館は温度・湿度管理や防虫対策ができる新館建設を決め、基金への寄付を呼びかけている。目標は5億円。問い合わせは同館(0493・22・3266)へ。(西堀岳路)