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 教育へのコンピューターの導入が進みつつあり、2020年には小学校で「プログラミング教育」が必修になろうとしています。一方で、若者がコンピューターを活用するスキルは向上しておらず、「国際競争力の点で問題である」という議論も耳にする機会が増えています。「パソコンを購入せず、スマートフォンやタブレットだけで済ますことが問題」と指摘する人もいます。

 こうした問題の本質はなんなのでしょうか? 重要なのは、「スマホかパソコンか」とは違う点にあるのではないかと筆者は考えています。一例として、アップルの教育市場への取り組みから考えてみたいと思います。同社が取り組んでいる内容には、教育とコンピューターを考える上で重要な示唆が含まれているからです。(ライター・西田宗千佳)

プログラム学習アプリを日本語化して無料提供

 アップルは3月、日本でいくつかの教育向け施策を発表しました。

 一つ目は、プログラミング学習ツールである「Swift Playgrounds(スウィフト・プレイグラウンド)」(画像1、2)の日本語化です。スウィフト・プレイグラウンドは、macOSやiOS用アプリの開発に使われているプログラミング言語「Swift」の学習ツールで、iPad上で動作します。見た目にはゲームのようです。キャラクターを動かす方法を学ぶところから、プログラミングの基礎を自学自習できます。操作も、ほとんどがタッチだけです。

 こうしたビジュアル操作によるプログラミング学習ツールは近年、急速に増えています。プログラミングというと商業的で専門的なもの、将来プログラマーになる人のためのものというイメージが強いかも知れません。しかしそれは誤解です。

 学びの過程で必要になる「論理的思考能力」「課題を解決するための思考能力」といったものを培う場合、プログラミングを学ぶことは非常に有用なものです。プログラミングの本質は、やりたいことを要素に分解し、論理的かつ順番に要素を並べて処理すること。画面の右から左へとキャラクターを動かすことも、ウェブブラウザーのような複雑なアプリケーションを作ることも、要素を並べて目的の動作をさせるという意味では同じなのです。この作業こそが「プログラミング」です。

 ゲーム的なビジュアル操作によるプログラミング学習は、難易度も低く、小学生などでも十分に行えるものです。そのため、文部科学省は、2020年度から小学校でプログラミング学習を「必修」とする方針です。

 前述のように、プログラミングは論理的思考や課題解決能力を養う点ですぐれており、教育に向いています。そのためアップルは、教育向けの取り組みの一環としてスウィフト・プレイグラウンドを2016年の秋から提供しています。昨年公開されたのは英語版でしたが、この春、5カ国語が追加され、その中に日本語も含まれていました。この動きは、日本の文科省の動きをある程度意識したものでしょう。

 教育用のプログラミング言語は多数あり、それぞれに特徴があります。スウィフト・プレイグラウンドの特徴は、最終的に、プロが使う言語と同じものを習得できることでしょう。ほとんどの教育向けプログラミング言語は、あくまで教育向けに特化したものです。プロがソフトを作るためのツールや言語とは違うものです。しかしスウィフト・プレイグラウンドは、学習を最後まで進めると、そこからiOSやmacOSアプリを作るツールである「Xcode」へ容易に移行できます。すでに述べたように、プログラミング教育はソフトウェア作成のプロになることと直結していません。ロジックの作り方さえ体得できれば、ツールの違いはある程度カバーできるものです。とはいえ、本格的なソフト製作に進もうとする学生が、初歩の学習に使ったツールから移行しやすいことにも価値はあります。アップルとしては、そこで自社製品向けのソフト開発者をより増やしたいという思いがあるのでしょう。

 スウィフト・プレイグラウンドは無料で公開されています。iPadさえもっていれば、だれでも自由にダウンロードして、プログラミングを学ことができます。これだけよくできたツールが無料というのは、非常に素晴らしいことです。

 アップルは3月、iPadの新型を発表しました。といっても、これはいままでのiPadとデザインも機能も、性能もほとんど変わりありません。最も安いものが3万7800円(税別)と大幅に下げたことが特徴です。同格の製品であるiPad Air2は、2014年発売で性能が新しいiPadに比べ劣る上に、価格も5万円以上していましたし、上位機種であるiPad Proはペン対応という利点はあるものの、6万6800円からとさらに高くなっていました。新しいiPadはとにかくコストパフォーマンスが良好です。これは間違いなく、教育市場を意識したものです。

 アップルはハードウェアを売っ…

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