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 1918年、一人の青年が砺波平野にチューリップの球根を10球植えた。米騒動の起きた年に、小さな球根に優しく土をかけ、チューリップ栽培の先駆者となったその青年の名は、水野豊造(ぶんぞう)〈1898~1968〉という。

 庄下村(現在の砺波市)の小作農の家の長男に生まれた豊造は、学業もそこそこに、早くから家業を手伝った。村の人たちは農閑期には出稼ぎに向かったが、体の弱かった豊造は出稼ぎに行けなかった。両親や祖父、姉や弟の生活を支えるため知恵を絞った。

 《農業経営の改善で出稼ぎに代(かわ)るだけの収益を挙げられるような気がしてならなかった》(「水野豊造原稿集」から)

 出稼ぎに行かず、養鶏やイチゴ…

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