天皇陛下の退位をめぐる政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長=今井敬・経団連名誉会長)は21日、いまの陛下に限って退位を可能とする特例法の整備を求める最終報告を取りまとめた。退位後の陛下の称号を「上皇」とするなど法案に盛り込む具体的な項目について整理したが、退位の是非や特例法を推奨した理由など本質論には触れなかった。

 有識者会議は同日夕、首相官邸で会合を開き、安倍晋三首相に最終報告を手渡した。首相は「最終報告を参考に法案の立案を進め、速やかに国会に提出するよう全力を尽くしたい」と表明。政府は近く、衆参正副議長下の各党・会派代表者に法案骨子を示した上で大型連休後の5月中に特例法案を国会提出し、今国会での成立をめざす。

 最終報告はA4判で20ページ。退位後の天皇の称号を「上皇」とするのは、「退位後の称号として定着してきた歴史」などを踏まえ、「現行憲法の下で象徴天皇であった方を表す新たな称号として適当」と説明。皇后さまは「上皇后」が望ましいとした。

 事務を担う組織として「上皇職」を新設し、日常の費用はこれまで通り「内廷費」から支出する。皇位継承資格のほか、摂政・臨時代行や皇室会議議員に就任する資格は認めない。「象徴や権威の二重性を回避」するため、被災地訪問など「象徴としての行為」はすべて新天皇に譲るとした。上皇が逝去した場合は天皇と同様に「大喪の礼」を行い、上皇と上皇后は「陵」に埋葬する。

 秋篠宮家については、国民に30年近く親しまれた名称であることを踏まえ、そのまま存続するのが適当だとした。秋篠宮さまの呼称は、皇位継承順位第1位にある者を意味する「皇嗣(こうし)」を付けた「秋篠宮皇嗣殿下」などを提案。「皇太子待遇」とするため、事務を担う「皇嗣職」を新設し、皇族費を現在の3倍の年9150万円にする。

 また、最終報告は皇族数減少の問題を「先延ばしできない課題」と位置づけ、「対策について速やかに検討を行うことが必要であり、政府をはじめ、国民各界各層で議論が深められることを期待したい」とした。ただ、「女性宮家の創設」など具体策は示さなかった。(大久保貴裕)

■最終報告の骨子

●退位後の天皇の称号は「上皇」、皇后は「上皇后」、敬称はともに「陛下」

●上皇が逝去した場合、「大喪の礼」を行う

●事務を担う組織として「上皇職」を新設

●象徴としての行為はすべて新天皇に譲る

●秋篠宮家は存続し、秋篠宮さまの呼称は「皇嗣殿下」などとする。事務を担う「皇嗣職」を新設し、皇族費を3倍に増額