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 わずか数ポイント差の得票率で明暗が分かれた。上位4候補による異例の混戦となったフランス大統領選の第1回投票。決選投票に進む見通しのエマニュエル・マクロン前経済相(39)とマリーヌ・ルペン右翼・国民戦線(FN)党首(48)は投票日の5月7日に向けて引き締めを図る。一方、歴史的な敗退が決まった2大政党の支持者からは落胆の声が漏れた。

 パリ市内の国際会議場に集まったマクロン氏の支持者らは、午後8時の投票終了直後に得票率予測が発表されると大きな歓声をあげた。親欧州連合(EU)を掲げるマクロン氏の陣営らしく、フランス国旗とEU旗が並んで揺れた。午後10時過ぎに登場したマクロン氏は「名誉とともに、重大な責任を実感している」と演説した。だが陣営幹部のアイム報道担当は「まだシャンパンのボトルは開けない」と慎重だった。

 大手銀行勤務のクレア・ギノさん(28)は「最大の関心は欧州との関係。欧州との協調は銀行に限らず、だれにとっても重要だ」と語った。アフリカ・ギニア出身のラミン・トラオレさん(32)は「私は欧州人。グローバル化の時代に国境を閉じろというのはおかしい」と話し、移民規制やEU離脱の国民投票を公約とするルペン氏を批判した。

 かたや仏北部エナンボモン市のルペン氏陣営の会場。大画面にルペン氏の決選投票進出の速報が映し出されると、「ウォー」と歓声がとどろいた。数百人の支持者は国旗の三色旗を振り回し、「マリーヌ、大統領、マリーヌ、大統領」と連呼した。

 ルペン氏は「歴史的好機が来た。争点は、我々の文明を脅かす野蛮なグローバル化を止められるかどうかだ」と親EUのマクロン氏との対決を強調した。

 運輸会社勤務のパトリック・ジュンケールさん(31)は「マリーヌは政権に就いたことがない。そこが一番の魅力なんだ」。オランド政権の経済相だったマクロン氏を「単なる焼き直し」と切り捨てた。

 3位に沈んだ最大野党・共和党のフランソワ・フィヨン氏(63)陣営。パリ市内の選挙事務所の前に置かれた大型ビジョンに得票率予測が映し出されると、頭を抱えたり、涙ぐんだりする支持者が相次いだ。

 技術コンサルタントのピエール・モンフォールさん(65)は「ドイツのメルケル首相やトランプ米大統領と張り合える、国際的に実績のある人物だったのに」と残念がった。フィヨン氏は当初、最有力視されていたが、公金による妻の架空雇用疑惑で支持率を落とした。疑惑についての報道をめぐって、取材陣に不満をぶつける人もいた。

 11候補中5位と歴史的な惨敗を喫した政権党の社会党、ブノワ・アモン氏(49)はメディアの得票率予測が流れた午後8時すぎ、早々と「この痛ましい結果について全責任をとる」と敗北宣言。ギヨム・ジラールさん(36)は「腹が立って仕方がない。左派はバラバラだった」と語った。

 左翼のジャンリュック・メランション欧州議会議員(65)は午後10時ごろ、支持者の前で「結果は尊重する。決選投票に向け何をすべきかは、今は何も言わない」と話した。前回の2012年選挙でもメランション氏に投票したというレストラン経営者のフローラン・ダゴベルさん(27)は「終盤の追い上げに期待していたが」と悔やんだ。(パリ=松尾一郎、津阪直樹、エナンボモン=稲田信司)