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 西アフリカのガーナで住民が最も好きな肉は、牛でも鳥でもなく、「グラスカッター」だという。草(グラス)を食べて体長50センチにもなるネズミの仲間で、京都大の村山美穂教授によれば「豚肉のような味でおいしい」。スパイスをふって焼いた肉の写真を見せてもらった。

 村山さんらは、この巨大ネズミをガーナ北部で家畜として飼育する国際協力機構(JICA)のプロジェクトを進めてきた。ガーナ大などと協力して飼育マニュアルを作り、村を回って講習会を開きグラスカッターを農家に配った。少しずつ農家の数を増やし、46軒で200匹以上飼育するまでになった。JICAの活動は2月に終了したが、飼育を続ける農家の意欲は高いという。

 飼育・繁殖が軌道にのれば農家の収入が増える。動物たんぱく質が安定して手に入るようになれば深刻な栄養不足も解消する。そしてその先に、動物研究者の村山さんの希望がある。野生動物を狩猟する必要がなくなれば、多様な動物がすむ環境が守られる。人の暮らしを守ることは遠回りでも自然を守る一歩になるはずだ。夢の実現を期待する。

(編集委員)

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