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 数々のヒット曲を作詞、映画やオペラでも活躍した作家・作詞家のなかにし礼さんが、がんと闘いつつ、旧満州での加害体験を小説で描いた。体験や創作活動を振り返り、「芸術作品」と表現する憲法への思いを語った。首相が改憲に向けた具体的な考えを示した施行70年の節目。悲惨な戦争と華やかな繁栄を見てきた作家は、何を訴えたいのか。

 ――憲法を芸術作品と言っていますね。

 「戦争をしないことをうたう日本国憲法は世界一です。特に前文は人類の進化の到達点だといってもいい。世界に誇れる芸術作品ですよ。日本語として美しくないからダメだと批判する人もいますが、私が芸術だというのは、日本人の琴線に触れる叙情詩だといっているわけではないのです。憲法は詩でも小説でもない。世界に通用させるべき美しい理念をうたい、感動を与えることができるから芸術だということです」

 「正確を期すために、持って回ったいい方があったり、生硬な日本語が使われたりしているのは事実です。抽象的な理想を掲げているので、流暢(りゅうちょう)さとか、日本人が美しいと感じる文章であるかどうかが重要なのではありません。大事なのはその中身です」

 「首相が、2020年に改正した憲法を施行したいと明言したと聞き、驚きました。首相は憲法を尊重し擁護する義務を負っているのに、改正の期限を切るなどというのは、大問題ですよ。しかも、9条を含めて改正しようというのは、もってのほかです。この憲法の理念と理想は世界の人びとにも感動を与えることができる。最初は理解されないかも知れない。でも、説得して、少しずつでも世界に広めていくことです」

 ――「時には娼婦(しょうふ)のように」「天使の誘惑」といった、甘美な愛の歌を生みだしてきた芸術の世界と関連するのですか。

 「私のことを軟派なエロじじいと思うかもしれませんが、愛は人間に与えられた最高の幸福ですよ。エロスは人を愛すること。人が人を愛し、歓喜を味わう、それが平和。エロスがなければ平和もありません。私の中では一貫しています」

 「人を愛することは基本的人権の謳歌(おうか)であり、場合によっては、権力に対する最大の反逆になり得るのです。政府が市民を統制し監視する社会を描いたジョージ・オーウェルの小説『一九八四年』や戦前の日本を持ち出すまでもなく、権力は究極的には、個人が国以外を愛の対象にすることを拒絶したい。恐怖で個人を縛り上げようとします。それに抵抗することなのです。こうしたことを理解して、憲法の前文を大事に思う人が増えてくれるとうれしいですね」

 ――平和を強く意識するようになったきっかけは何でしょうか。

 「私の人生の土台をつくったの…

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