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■柳川の海産物問屋社長・金子英典さん

 「豊穣(ほうじょう)の海」と呼ばれた、九州最大の湾である有明海。干満差や干潟の広さが、ワラスボ、ムツゴロウ、トンサンウオ、エツ、ハゼクチ、メカジャ……など多くの固有種を育んできました。

 私はこの有明海の北部に位置する柳川市で、海産物問屋と併せて鮮魚店、飲食店、水産物加工を営んでいます。弊社は1890年、曽祖母が鮮魚店「平野商店」として創業し、地の利を生かして網元に。漁業者は有明海の干満に合わせて働くため、暗い時間の作業も日常的に行います。そんな漁師たちにお茶と称したお酒を振るまううち、店はいつしか「夜明茶屋」と呼ばれるようになりました。

 最盛期、ここで捕れた魚介類は貨車で、築地を始め全国の魚市場に運ばれていたそうです。幼少期の私の記憶にも、華々しい時代の有明海の姿があります。

 私が3代目の父からこの店を継いだのが20年前。有明海には、かつてのような豊穣さはすでにありませんでした。屋号を、有明海の復活への思いを込めて「夜明茶屋」と戻しました。

 けれども現在の有明海の水揚げ量、特に貝類は最盛期の1割にも満たないものです。弊社に残る「水揚げ帳」の数字も、現状を物語っています。有明海に一体何が起こっているのだと思いますか?

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 かねこ・ひでのり 福岡県柳川市の海産物問屋やまひら社長。鮮魚、飲食店を併設した「夜明茶屋」を運営する。48歳。

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