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 人形遊びの定番とも言える「リカちゃん人形」が今年、発売から50周年を迎える。3日はリカちゃんの誕生日。これまでに販売された数は6千万体以上で、国内の認知度が99%という調査結果もある。幅広い層に愛され続けている秘訣(ひけつ)とは?

 ゴールデンウィーク初日の先月29日、東京・銀座の玩具店「博品館TOY PARK」では、リカちゃん売り場が家族連れでにぎわっていた。横浜市から母親と一緒にきた保母英里香さん(9)は、大人風の夏服を着こなしたリカちゃんを買ってもらった。3歳ごろから遊んできたといい、「自分みたいな感じで、おしゃれなリカちゃんが好き」。

 リカちゃんは1967年、タカラ(現タカラトミー)が発売した。海外でドールハウスが流行し、米国のバービー人形などが売られていたが、大柄で顔も欧米風。「日本の子どもにあうハウスと人形を」と開発がはじまった。キラキラの目と細い体形は、日本の少女漫画の要素を盛り込んだ。

 当時では珍しく、名前や年齢なども設定。徐々に家族も増えた。本名は香山リカ。11歳の小学5年生で、ちょっぴりあわてんぼう。フランス人音楽家の父ピエール(36)とファッションデザイナーの母織江(33)の長女で、双子や三つ子のきょうだいがいる。

 誕生日が5月3日なのは、子どもの成長を祝う3月の桃の節句と、5月の端午の節句から数字を取ったからだ。祝日で多くの人と一緒に祝えるようにという願いも込められた。

 時代にあわせて、人形のデザインや設定は少しずつ変化させてきた。初代リカちゃんは栗毛色のカールヘア。2代目は目がよりキラキラし、3代目は前髪を下ろしたストレートヘアに。いまも販売している4代目は、身長を1センチ高くして、髪形の種類も増やした。

 父親は当初、行方不明という設定だった。高度成長期で、仕事に忙しく自宅にいない父親が多かったからだ。土曜日の休みが増えはじめた89年、ようやく父親の人形が登場。いまでは子煩悩で、「イクメン」のイメージを打ち出している。

 洋服も60年代はミニスカート、80年代はアイドル風など流行を反映させてきた。タカラトミーの村山麻衣子・広報課長は、「女の子の流行や憧れを敏感に感じて、常に進化させてきた。リカちゃんの歴史で、日本の歩みが見えてきます」と話す。

 リカちゃんの開発では、発売当初から子どもたちの声を大事にしてきた。月に1度、3~6歳の女の子とその親20人ほどを招待し、好きなドレスをたずねたり、試作品で遊ぶ様子を観察したりして好みを調べている。「実際の反応を見て、自分勝手ではない商品づくりをしています」(木下歩・企画開発課長)という。

 ファンは世代をこえている。東京都内に住む木村えり奈さん(38)は、9歳の長女、62歳の母親と親子3代それぞれが、リカちゃんをそばに置く。飾って眺めたり、受け継いだ人形で着せ替えたり。「小物やハウスは変化しても、リカちゃんはほとんど変わらずかわいくて、安定感があるのがいいですね」

 リカちゃんは、2014年には香山リカの名前でツイッターを始め、翌年にはインスタグラムも開設した。フォロワーは計約18万人。季節や場所を踏まえた流行のファッションなどを発信し、実在するモデルらと同じように女性たちの憧れの存在になりつつある。15年には15歳以上向けのシリーズ、16年には少し大人っぽい装いのシリーズも発売し、かつてリカちゃんで遊んだ大人たちが再び関心を寄せているという。

 リカちゃん誕生50周年にあわせて、関連イベントも目白押しだ。「誕生50周年記念 リカちゃん展」が全国を巡回中だ。人形工場などのあるテーマパーク「リカちゃんキャッスル」(福島県小野町)は今月3日の誕生日にニューアルする。400種以上の記念商品の発売を予定している。(植松佳香)