【動画】人工林の間伐材を利用したコースターづくり=合田禄撮影
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 日本の森林の4割は人工林。先人たちが「子孫のために」と植えてきました。家を建てるのに使える木材になるまでには、世代を越える年月と、手入れの繰り返しが必要です。山の恵みを受け取り、次世代に財産をつなぐ林業の現場を訪ねました。

■時紀行:100年 持続可能な林業目指す

 巨木がゆっくり山側へと傾いていく。バキッという音が響きわたると、ぐっと加速し、ともに育った木々と枝が擦れ合った。ドォーンッ。太い幹が跳ねてたわんだ。

 ここは奈良県川上村。吉野川の支流沿いをさかのぼると、山主から森林を預かる「山守(やまもり)」が100年余り前に植えた吉野杉の森がある。高さ約30メートル、幹回りは胸の高さで2・3メートル。整然と並んだ大木の数本に1本、根元に刻印がされている。間伐の目印だ。

 吉野の林業では1ヘクタールあたり8千~1万本と密に植樹し、間伐を繰り返す。チェーンソーをあてられ、切り倒された杉の年輪は幅が均一でぎっしりと詰まっていた。

 伐採の様子を4月下旬、南都銀行(奈良市)の新入社員約80人が見守った。山守のカクキチ木材商店12代目、下西洋三さん(37)は「たまたまこの時代にいる私たちが先祖の山守が植えた木を間伐する。世代を超えたリレーランナーの気持ちです」と語る。切られた木は山で半年寝かせられた後、運び出されて建材になる。そして周りの木はさらに太く育っていく。

 全国的には樹齢100年超の人工林は希少だ。戦後の拡大造林政策の影響で50年前後の杉やヒノキの林が多い。そんな中、持続的な林業を目指す取り組みを始めたという高知へと足を延ばしてみた。

 四国の真ん中、高知・嶺北(れいほく)地域の本山町には樹齢40、50年の人工林が多い。植林をした林は定期的に手入れをすることで、降った雨水が一気に流れ出さず、土砂災害にも強くなる機能を持つ。

 渓谷沿いには一面、棚田が広がり、夕日が当たると、その段差がくっきりと浮かび上がった。「きれいな水をつくってくれる山です」。棚田が一望できる展望台で、祖父の代から工務店を営む藤川豊文さん(53)はこう続けた。「この棚田を守るためにも木材が適正な価格で売れ、山にお金がかえる仕組みが必要です」

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