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 主食、おかず、牛乳を提供する「完全給食」を公立中学校で実施している割合について、全国主要74市区に朝日新聞が尋ねたところ、都市間で大きな差があり、50%未満が5市あった。給食がない場合、生活保護や困窮家庭向けの就学援助に給食費が含まれず、昼食代が家計の負担になっている。

 政令指定市、道府県庁所在市と東京23区に今年1月、総生徒数のうち完全給食の対象になっている生徒の割合を示す実施率を聞いた。札幌、仙台、大阪や東京23区の計59市区が100%と回答。50%未満は横浜(0%)、大津(6・6%)、川崎(9・3%)、高知(16・1%)、神戸(37・5%)だった。

 実施していなかった理由は、財政的余裕がない、弁当が定着している、など。だが、子どもの貧困の広がりなどを背景に、保護者らの要望に応えて給食を始め、数年内に100%を目指す市もある。神戸は2月に100%に達している。

 また12市は、持参の弁当か、民間業者などが配送する給食かを選ぶ「選択制」を採用し、業者の給食を食べている生徒の割合は、堺(約7%)、和歌山(約20%)、盛岡(約31%)。費用の前払いや予約の手間、「周囲が弁当なのに給食を選びにくい」といったことがネックとみられる。さらに、就学援助の対象にしていない自治体では、給食があるのに困窮家庭の支えになっていない。

「全員に完全給食を」

 〈可知悠子・日本医科大助教(社会疫学)の話〉 学校給食は格差対策の役割を果たしている。国民生活基礎調査などから研究した結果、経済水準が低い家庭の中高生は、高い家庭の子に比べて肥満の割合が3倍だった。小学生では双方、肥満の割合は変わらない。小学校は完全給食の実施率が高く栄養バランスが取れているからだと推察される。

 就学援助の対象にしていないのは、困窮家庭にとっては給食がないのと同じ。また、低所得の子だけ支援すると差別を生み出す可能性もある。行政は、全員を対象とした完全給食を目指すべきではないか。

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 〈完全給食〉 牛乳のみの給食などに対し、主食、おかず、牛乳のすべてを提供する方法。文部科学省の2015年度の調査では、全国の公立中学校での実施率(生徒数ベース)は82・4%と、公立小学校の99・6%に比べて低い。学校給食法は、義務教育の学校設置者について「給食が実施されるように努めなければならない」と定めている。同調査によると、中学校の給食費は月額平均4921円。生活保護世帯には保護費の教育扶助として支給される。生活保護に準じる困窮世帯の場合、市区町村が就学援助の対象にしていれば補助される。

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