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 膵臓(すいぞう)がんの9割以上にかかわるとされるがん遺伝子「Ras」の働きを狙い撃ちにして抑える新たな化合物を、九州大などの研究チームが開発した。マウスの実験で体内のがん細胞の増大を抑える効果があることを確かめた。難治がんとされる膵臓がんなどに効く新薬として期待できるという。2日付米科学誌セルリポーツで発表した。

 Ras遺伝子が変異するとがん細胞の増殖や転移が活発になることが知られており、膵臓がんでは9割以上で、がん全体でも3割で変異が見つかる。チームはRasが働く仕組みに特定のたんぱく質が関わることを突き止め、20万種類以上の化合物データベースの中からこのたんぱく質の働きだけを抑えそうなものをシミュレーションで探索。化合物を合成して実験を繰り返し、最も効果のある化合物を特定した。

 この化合物を、肺にがん細胞を移植したマウスに注射すると、注射しないものに比べてがんの成長が5分の1に抑えられ、白血球数や体重が減る副作用はみられなかった。九大の宇留野(うるの)武人准教授(生物化学)は「ヒトを対象にした臨床試験も視野に入れ、数年がかりで創薬を実現させたい」と話す。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(小林舞子)