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 親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)が10日で開設10年となるのにあたり、運営する慈恵病院(熊本市)が9日、会見を開いた。蓮田太二理事長は「赤ちゃんの命を守る役目を果たしてきた」と意義を語った。

 「ゆりかご」は「命を救う最後の手段」として2007年5月に開設。16年3月末までに125人が預け入れられ、看護師に保護された後、養父母の家庭や児童養護施設などで育てられてきた。望まない妊娠や生活困窮などに悩む女性らの受け皿となる一方、「安易な預け入れにつながる」「子どもの出自を知る権利を奪う」などの批判もある。

 蓮田健・副院長は「自分が母親だったら別の方法を取ったと思うことも少なくなかった。しかし、子を預けに来る母親は誰にも相談できず、経済的にも困窮しているなど異常な状況にいることを理解してほしい。『ゆりかご』は社会に必要なシステムだと思う」と話した。

 預けた父母らの居住地は全国各地に散らばる。蓮田理事長は「赤ちゃんを遺棄したとして逮捕された女性が『熊本まで行くお金がなかった』と話した」などの例を挙げ、「各県にひとつでも『ゆりかご』があるのが理想」と訴えた。

 預けられた子のその後については、地域によって取り組みに温度差がある特別養子縁組の充実を訴えた。また、どんな境遇でどう生きているかを病院が把握できるよう行政に働きかけているとした。

 一方、熊本市の大西一史市長は9日、自宅出産など母子の命にかかわる状況での利用があることなどに触れ、「125人の預け入れがなされている意味を、もう一度真剣に問い直す時期に来ている。一自治体と一民間病院のレベルで語られる問題ではない」と述べた。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(池上桃子、柴田菜々子)