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 「ふるさと納税」の返礼品をめぐり、各地の自治体が困惑している。返礼品の価格を寄付額の3割以下に抑えるよう、総務省が4月に通知したためだ。豪華な返礼品などで過熱する自治体間競争の沈静化を狙ったものだが、「突然止まれと言われても、止まれない」と従わない自治体もある。

 ふるさと納税は、自分の故郷や応援したい自治体に寄付すると、寄付額から2千円を引いた額が所得税や住民税から控除される仕組みだ。2015年度の寄付額は前年度の4倍を超える1653億円に膨らんだ。大きな要因は寄付した人に自治体が贈る返礼品だ。

 総務省の集計では、15年度に自治体が返礼品の調達に充てた費用は計632億円。寄付額の約4割にのぼる。総務省は、ふるさとを応援するという本来の趣旨に基づく対応を徹底させるため、資産性の高い返礼品をやめて、返礼品の価格を寄付額の3割以下とするよう4月1日に通知した。

 通知に強制力はないが、自治体は対応に追われている。15年度に全国1位の寄付額42億円、16年度は73億円を集めた宮崎県都城市。宮崎牛や黒豚といった返礼品の「質と量」が注目を浴びたが、6月から肉の種類を変更するなどして返礼品の価格割合を約6割から3割に下げる。池田宜永市長は「いろいろな思いはあるが、国の方針なので受け入れる。これを機に賛否両論の議論が落ち着き、制度として安定してほしい」と話す。

 マグロやカツオの返礼品が人気で寄付額が全国2位だった静岡県焼津市も、中野弘道市長が「3割に下げる」と宣言した。頭を悩ませているのが少額寄付への返礼品。5千円以上の寄付への返礼品に「マグロたたき身セット」などがあるが「3割の1500円分だと見劣りしてしまう」(ふるさと納税課)。寄付額を上げるか量を減らすか、見直し作業は早くても7月までかかるという。

 長野県伊那市は通知を受けて、液晶テレビといった10万円以上の家電などを返礼品から外したが、10万円未満の家電は「資産性は高くない」として残した。しかし、高市早苗総務相から「通知の趣旨にそぐわない」と記者会見で指摘され、今月9日、返礼品から家電を外すことを表明した。「すべて納得したわけではないが、あそこまで指摘を受けたからには、見直すしかなかった」と担当者は話す。

 15年度の寄付額上位10自治体のうち、9自治体が返礼品の価格を見直すか、見直す方針を固めている。4位の鹿児島県大崎町の担当者は「うちはこのままでいきたい」と話す。マンゴーなど約400種類の返礼品の仕入れ値は寄付額の3割余りという。

 一方で、総務省の通知に従わない自治体もある。

 地元産の米を返礼品にしている長野県南部の阿南町では、寄付額に対する米の価格は5割を超える。しかし、担当者は「地元産の米は価格を下げるつもりはない」。理由は農業支援だ。町が米の買い取りを決めた際、新たに田んぼを借りたり作付面積を広げたりした農家がいるという。「農家を苦しめるような変更は考えられない」と訴える。

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