医師や助産師が立ち会わない出産だと、「出生証明書」がもらえず、赤ちゃんの戸籍づくりに大きな負担がかかることがある。病院に間に合わず、救急隊員がへその緒を切ったケースでも、出生証明書を出すかどうかの判断は病院によって異なる。専門家は「母親らに過度な負担がかからないよう、柔軟に運用する必要がある」と指摘する。

 「陣痛がひどくて死にそうです、助けて!」。

 昨夏、妊娠相談や養子縁組仲介などを担う民間団体アクロスジャパン(東京)に、東京都内の20代女性から助けを求める電話が入った。女性は電話をつないだまま約30分後に自宅で出産し、同団体が呼んだ救急車の救急隊員にへその緒を切ってもらった。搬送先の都立大塚病院で胎盤を出す処置が行われた。

 出生届を出す際に必要な「出生証明書」の発行を団体が求めると、大塚病院は「出産に立ち会っていない」として証明書を出さず、診断書のみ発行した。医師や助産師による出生証明書がないと市区町村で出生届は受理されず、法務局による親子関係の確認が必要になることが多い。「自分の子どもではないのに自分の子として届けられるのを防ぐ」(法務省の担当者)ためだ。

 同団体は、救急搬送の証明書や医師の診断書、出産経過を書き起こしたメモなどを練馬区役所に提出。戸籍ができるまで2カ月かかった。同団体の小川多鶴代表(51)は「困難な状況で出産した人が、これだけ複雑で多くの窓口を経由する手続きをやり通すのは難しい」と話す。女性には子どもを育てる意思がなかったといい、子どもは特別養子縁組した養親のもとで暮らしているという。

 同病院は朝日新聞の取材に「『…

有料会員に登録すると全ての記事が読み放題です。

初月無料につき月初のお申し込みがお得

980円で月300本まで読めるシンプルコースはこちら