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 本格化するアメリカ軍基地の移設工事を巡り、沖縄県と政府の対立が続きます。県内移設や基地そのものの必要性、基地が沖縄に集中する状況について尋ねた朝日新聞デジタルのアンケートには、開始1週間で2200を超える声が寄せられています。沖縄と「本土」の温度差、基地問題を伝えるメディアについての意見を、紹介します。

■観光でも目に入るはず

 沖縄のアメリカ軍基地について、全国の人たちは知らない・知らされていない・関心がない、といった声が寄せられています。40代以上と若い人たちに分け、こうした声を中心に紹介します。

●「沖縄について、私も含め本土の人は知らなすぎると思います。もっと関心を持ち心を寄せるためには情報が必要ですが、新聞、テレビでの報道があまりにも少な過ぎるのではないでしょうか? 現状が知らされてないこと、また知る努力を怠ってることもある意味差別なのではと思います」(福岡県・50代女性)

●「私は佐世保で生まれ育ちました。佐世保はアメリカ海軍の基地がありますが、そのことで多くの仕事や雇用が生まれている現実があるのを認識しています。おそらく沖縄も同じような事情があると思います。そのことが本質的な部分での解決を妨げているのではないでしょうか。言い換えれば、沖縄において(いや日本全体かもしれませんが)ある一定レベルでの貧困状況が維持されていることで、沖縄の基地問題の本質的な解決を妨げる状況が作り出されていると推察します。政府としては好都合な状況であるわけですが、やはり大きな憤りと怒りを感じますね」(北海道・40代男性)

●「武力で平和はつくれないという真理で、沖縄だけでなく日本国内どこにも基地はなくすべきと思っています。沖縄の問題が『本土』の問題だということを周囲に伝えていかなければならないと考えます。それは簡単にできることではなく、絶対に諦めないでそれぞれができることをやることです。これは沖縄の問題というより自分の問題です」(神奈川県・80代女性)

●「負担を沖縄に集中させているのは反基地闘争を沖縄の孤独な闘争にするのが狙いで狙いどおり孤独な闘いになっている。そしてほとんどの県外人は沖縄の過重負担に無関心。海兵隊の基地を沖縄に置く理由など全く無いことを朝日新聞を含むメディアは知っているくせに報じてくれない。本来ならメディアが先頭になって全国で応分の負担をと主張すべきだ! 辺野古が唯一の選択肢などと安倍政権に何度も言わせてはならない。メディアもその責任を担っているはずだ。メディアは差別しないで欲しい」(沖縄県・70代男性)

●「沖縄だけが基地負担しているわけではない。偏向報道である。アメリカ軍の問題と沖縄固有の問題は個々に議論すべき」(石川県・50代男性)

●「沖縄を訪れると、沖縄本島全体に、米軍基地が広く入り込んでいることがわかりました。沖縄にリゾートで出掛けた人は皆それを目で見たはず。青い海を楽しく享受するだけでなく、一観光客としてでも、感じたことを発信し、沖縄だけに基地を押し付けていること、どのように必要なのか、あるいは不要なのかを、大々的に共有していければ、世論という力になると思います」(大阪府・40代女性)

●「沖縄に基地が集中しているのはそもそも本土にあった基地を押し付けたからです。日本の独立から切り離し、沖縄を差別したからです。それなのに沖縄に基地がなければ日本の防衛のためにならないと言っているのはおかしいです。私は日本にアメリカの基地など一つも必要ないと思っていますが、すべてを一気になくすことは無理なので、沖縄の基地負担を本土で引き取りながら、段階的に基地をなくしていけたらいいと思います」(愛知県・40代女性)

■歴史教わった記憶ない

●「私は大学3年生だが、義務教育からこれまで沖縄をはじめ有意義な歴史教育を教わった記憶がない。自ら調べたくてもバイトと授業に追われて時間をとれない。だからニュースや新聞を見てもはっきり言って分かりにくい。学校で学べる機会を増やすべきだ」(海外・20代女性)

●「新しく近所に幼稚園が建設されるっていうことだけで大もめになるこの地域の住人は沖縄の米軍基地には寛容だ」(千葉県・30代男性)

●「自分の周囲含め、沖縄の基地問題を知らない人が大勢いる。さらに基地建設反対をする人たちへのヘイト報道があふれ、知識をゆがめる。こういうヘイト報道は、政府の沖縄に対する差別姿勢を反映したもので、基地問題に無知な人がそれに吸い込まれていく悪循環。まずは、ヘイト扇動メディアのロジックの切り崩しをやらねばと思う。基地問題に直接関わらないと思われがちだが、私は大事だと思う」(東京都・20代女性)

●「差別という言葉はしっくりこないが、つくりやすいところにつくり、そのままにしている感はある。沖縄に集中していることで議論をひとごとにしやすい状況はつくっていると思う。このような議論、あるいは質問設定する際に、横田や横須賀、佐世保などを並列して同じように質問しないのはなぜか。基地問題を語る時、沖縄論になるような問題提起ではなく、全体論になるような、問題提起のされかたがあっても良いと思う」(福岡県・30代女性)

●「ボーボーボーと授業中にもかかわらず鳴りやまない飛行機の音、お金が必要と考える県民と自然は守るべきだという県民の対立。こんなことが毎日、ここ沖縄で起きている。正直に言うと、そんな環境の下で暮らすのは、内地の人には理解してもらえないだろう。沖縄の基地について知識はあるだろうか。差別されている、と沖縄県民が主張する理由のひとつにこの疑問があげられる。翁長県知事と安倍総理には、より多くの対話を積み重ね、いつかこの基地問題が良い方向へ向かうことを願う」(沖縄県・10代女性)

■本土の米海兵隊 反対高まり移駐

 「伊佐浜から追立(おいた)てられた農民は美里村の平原へ移り、家とは名ばかりの掘立(ほったて)小屋に住んでいる。ある農民は『一家八人が六坪の仮小屋で食うや食わずの惨めな生活をしている』と……」

 これは1955年10月の朝日新聞記事の一節です。「伊佐浜」とは普天間飛行場に近い集落。アメリカ軍による土地の強制接収が行われた沖縄の現地を取材した記者が書いたものでした。

 沖縄には、日米安保条約に基づく日米地位協定により、アメリカが管理し、使用している日本国内の基地(専用施設)の、面積でいうと7割が集中しています。なぜそうなったのか。それには戦争の時代からの長い経緯があります。

 72年前の太平洋戦争末期、沖縄にアメリカ軍が上陸し、島全体が戦場となります。軍人、民間人、多くの人々が戦火の犠牲になりました。

 戦争が終わってもアメリカはそのまま沖縄の占領を続けます。敗戦から6年後の51年、サンフランシスコ講和条約が結ばれ、翌年4月28日の発効で日本は主権を回復しましたが、沖縄などは引き続き、アメリカの施政権下に置かれました。「本土」にとって「主権回復の日」である4月28日は、沖縄では「屈辱の日」として記憶されます。

 アメリカに支配された27年の間に、基地は拡張されました。戦後、アメリカ海兵隊は日本本土に駐留していましたが、基地反対の高まりもあって沖縄に移駐します。用地を確保するために住民から強制的に土地を取り上げる軍の行為は「銃剣とブルドーザー」と呼ばれました。72年5月、悲願の日本復帰を果たしますが、主要な基地はほぼ残り、米軍基地の密度も「本土並み」に、との願いはかないませんでした。

 復帰から23年後の95年、沖縄本島で3人のアメリカ兵が小学生の少女を拉致し、暴行する事件が起こりました。沖縄の人々の怒りは、多すぎる基地の縮小を求める声として高まります。日米両政府は交渉の末、宜野湾市の中心にある海兵隊の普天間飛行場を全面返還することで合意します。が、その代わりに新たにヘリポートを沖縄県内に建設することが条件でした。「県内移設」に対し、沖縄の人々からは「基地のたらい回しだ」との批判の声があがります。

 曲折の末、移設先に決まった名護市辺野古で先月25日、沿岸部を埋め立てる護岸工事が始まりました。基地建設に反対する沖縄県と政府の溝は、かつてないほど深まっています。(川端俊一)

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