文部科学省は16日、大学入試センター試験の後継として、2020年度から導入する新テスト「大学入学共通テスト」(仮称)の実施方針案を公表した。英語は、英検など民間試験で「読む・聞く・話す・書く」の4技能を評価。初年度から全面移行する案と、23年度まではセンターが作る問題も併存させる案を示し、6月末までに絞る。国語と数学では3問程度の記述式を出題する。

 センター試験が始まった1989年度以来の大きな改革で、現役なら21年4月に入学する今の中3から対象となる。

 大学入学共通テストの出題科目数は国語や数学Ⅰ、世界史A、物理などセンター試験と同じ30科目。高校の新しい学習指導要領が導入された後の24年度以降、科目の絞り込みを検討する。

 英語では、英検やTOEICなどの民間試験のうち、指導要領に対応し、実施場所の確保、採点の質といった条件を満たす試験を大学入試センターが認定。高3の4~12月に2回まで受けることができる。そのうえで、大学入試センターが作る従来の英語の「読む・聞く」の問題については、①20年度から廃止して民間試験に全面移行する②制度変更の影響に配慮し、23年度まで残す――の2案を提示。6月末までに一つに絞る。

 結果はCEFR(セファール,欧州言語共通参照枠)という国際基準に対応させて6段階などの段階別で示し、各大学が2次試験の出願資格などに使うことを想定する。

 国語と数学の記述式問題は、センターが作り、採点は民間業者に委託する。成績は3~5段階で示し、試験時間は、国語でいまの80分から100分程度に、数学で60分から70分程度に延びる見通しだ。

 国語は記述式の大問を1問設け、小問を3問程度出す。題材は、民間の契約書や公文書など実用的な文章も扱い、80~120字で答える問題を入れる。センターが示した問題例では、架空の市の「景観保護ガイドライン」についての親子の会話を読ませ、議論の対立点を20字以内で述べさせたり、賛成意見を120字以内でまとめさせたりする。

 一方、国公私立の各大学が個別に行うAO(アドミッション・オフィス)入試や推薦入試で学力を問う試験を必須化する方針も示した。一部で「学力不問になっている」との批判があるためで、文科省は小論文やプレゼンテーション、資格・検定試験などを課すか、共通テストを受けさせることを求める。(水沢健一)

■大学入学共通テスト(仮称)の骨子

〈英語〉

・民間試験で「読む・聞く・話す・書く」を評価

・高3の4~12月に2回まで受けられ、結果の良い方を採用(浪人生は別途検討)

・A、B両案から6月に絞り込み

【A案】20年度からセンター作成の試験を廃止。民間に移行

【B案】23年度までセンター作成の試験も併用。24年度から民間に全面移行

〈国語・数学の記述式〉

・採点はセンターが民間業者に委託

・国語は80~120字程度で答える問題を入れ、いずれも3問程度

・マークシート式と合わせ、試験時間は国語が80分から100分程度に、数学は60分から70分程度に延長

・24年度から地歴・公民や理科も記述式を検討

■文章読み取る力・表現力問う

 この問題では行政機関の広報資料を題材に、話し合う場面や異なる立場からの提案書の検討を通し、文章を的確に読み取る力や、設問中の条件に応じて表現する力を問う。

 問1 複数の文章を読み、比喩表現が示す内容を整理して説明する問題。正答のためには「一石」が「景観保護ガイドラインの導入」などであり、「二鳥」が「観光資源」と「空き家対策」か「治安維持」だと示す必要がある。

 問2 二つの文章を比較し、違いをとらえて評価内容を書く問題。正答のためには、「目につきやすい色の看板」という提案書の要旨の記載が、ガイドラインに沿って「伝統的建築物との調和」に修正されるべきだと書く必要がある。

 問3 異なる立場の意見で対比されている事柄を整理して書く問題。正答のためには、個人の自由の制限と、自己負担を求めることの是非について、父と姉の意見が対立していることに触れる必要がある。

 問4 文中から主張の根拠となる情報を選び出し、説明する問題。正答のためには、姉の意見と一致する点としてガイドラインから「景観を将来の世代に引き継ぐ」「必要な予算があれば、その計上を検討」といった部分を引用する必要がある。