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 大阪の中心部に時を告げている徳川家光ゆかりの釣り鐘が、「立ち退き」騒動の渦中にある。置き場を無償で貸していた不動産会社が、鐘を所有する大阪府と地元の鐘保存会に明け渡しを求めたためだ。「地域の由緒あるシンボルが失われてしまう」と、鐘に愛着をもつ人たちは危機感を募らせている。

 鐘は「大坂町中時報鐘(おおさかまちじゅうじほうしょう)」と呼ばれ、ビルやマンションが並ぶ大阪市中央区の、その名も「釣鐘町(つりがねちょう)」にある。毎日午前8時と正午、日没の3回、コンピューター制御で鐘を突く棒が動かされ、音を響かせる。

 「日没の鐘を聞くと、ずいぶん日が長くなったなぁなどと季節を感じるんです」と地元町内会長の山田利彦さん(71)は言う。6月10日の「時の記念日」には近所の子どもを集めて鐘を突き、餅を配ってきた。「鐘は地域の人たちをつなぐ役割も担っている」

 由緒の正しさは折り紙付きだ。府教育庁などによると、1634(寛永11)年に大阪城を訪れた徳川家光が、大阪の地子銀(じしぎん、土地にかかる税)の永代免除を通知した。当時の大阪市街地全体(現在の同市中央区と北区、西区などの一部)が対象で、「豊臣びいき」の町人らを懐柔しようとしたのでは、と伝わる。

 町人たちはその年、「感謝を忘れず後世に伝えよう」と高さ1・9メートル、直径1・1メートル、重さ3トンの「時報鐘」を鋳造し、現在の釣鐘町に置いた。街中に届いていた音は近松門左衛門の人形浄瑠璃『曽根崎心中』にも登場。遊女お初と徳兵衛が死へ向かう場面で、夜明けを告げる鐘の音が鳴り響く。府の有形文化財にも指定されている。

 時報の役目を終えた明治以降、…

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