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 さわやかな薫風がそよぐ季節。野球観戦に心地良い初夏の風も、横浜スタジアムのマウンドに上がる投手にとっては天敵になる。

 試合前、ラミレス監督が必ず視線を向けるのが、センターのスコアボード上部にある球団旗。本塁から外野方向に旗がたなびいていれば、「今日はグッドウィンドだね」。つまり、打者にとっては打球が伸びるいい風だ。一方、投手から見れば、長打を打たれる可能性が増す危険な風。通称「ホームラン風」になる。

 大型連休中の4月30日にあった広島戦は、その強風が試合前から吹き荒れていた。案の定、両チームで合わせて5本のホームランが飛ぶ乱打戦に。観戦には面白い展開だが、投手にとってはたまらないだろう。

 この試合、DeNAの先発はチーム最年長の久保康友(36)だった。「あの風でしょ。相手に気持ちよく打たせたら空中戦になるのはわかっていた。とにかく、丁寧に丁寧に投げようと」。制球に細心の注意を払い、低め低めにボールを集めた。5回を投げてホームランは1本も打たせず、今季初登板で初勝利。ベテランらしい、若手の手本になる投球術だった。

 「マウンドに立つ時、頭の中の3割から5割は風を考えている」と久保は言う。風で打球の伸びが変わるだけではなく、体に風が当たると投球フォームに影響を受けるという。大げさに感じるほどの風への警戒心は、風に鍛えられた久保の経験によるものだ。

 プロで最初に所属した球団はロッテだった。本拠地の千葉マリンスタジアム(現・ZOZOマリンスタジアム)は、風速10メートルを超えるような強風が名物。5年目に移籍した阪神もまた、「浜風」と呼ばれる海風が強く吹く甲子園がホームだった。

 本塁打になりそうな打球に逆風が吹き、風に助けられたこともある。だが、久保の経験則は、「投手が風を味方につけるなんて無理」。だから工夫し、どうしたら風の影響を小さくできるかを考える。両翼が狭く、しばしばホームラン風が吹く横浜スタジアム。その危険なマウンドに上がる投手には、久保のような心構えが必要だ。(波戸健一)

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