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 安倍首相が5月3日、改憲派の集会によせた、「2020年新憲法施行を」と訴えるビデオメッセージ。コラムニストの小田嶋隆さん(60)は「この文章は、日本の国語教育の結実です」と言う。そのココロは――。

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 首相のメッセージは、緻密(ちみつ)に読むと意味が分からない文章です。新聞記者さんは職業柄、論理的整合性を気にしますが、私たちが日本の国語教育で求められてきた読解力とは、論理的帰結ではなく、「この人物の気持ちを読み取れ」「作者の真意は何か」といったものです。つまり、このメッセージは、書き手の真意を「忖度(そんたく)」する日本人の日本語の読み方の結実のようなものなんです。

 では、この作者(首相)の狙いは何でしょう。論理的に一つ一つつめて、憲法をこう変えましょう、ということではなく、「新しく生まれ変わるんだから、新しくしましょうよ」「せっかく引っ越したんだから新しい冷蔵庫を買いましょうよ」みたいな。論理的にはつながらないけれど、気分的にはよくわかる。雰囲気で、改憲まで持って行こうということだと思います。

 これに「五輪」を絡めたのは上手です。様々な立場の人を説得するのに、五輪は有効なフックになる。結婚式場で「一生に一度のことですから」と言われれば、つい料理のランクを上げたり、このオプションも、となったりしてしまう。あの不気味なセールストークと似て、否定しにくい。

 これまでの発言と、今回のメッセージを読んで改めてわかったことは、安倍首相にとっての憲法改正は、日本社会の現状や具体的な課題とは関係ない、祖父・岸信介さんから受け継いだ「個人的な思い込み」ということです。だから、メッセージを読んでも、憲法改正が必要な合理的な理由は見えてこない。

 岸信介さんの世代の政治家が、…

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