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 髪の毛を失ってもおしゃれを楽しんで、外に出かけたい――。円形脱毛症の女性が、そんな思いから開発したヘッドスカーフが、同じ病気や抗がん剤治療の影響などで悩んでいる女性らに好評だ。肌に優しい素材をと、群馬県産の絹を使い、絹織物の伝統がある桐生市の縫製会社で作っている。女性は「ファッションとしてスカーフを着け、堂々と出かけて欲しい」と話す。

 スカーフを考えたのは群馬県伊勢崎市の角田真住さん(39)。2014年春、脱毛が複数できる多発型の円形脱毛症と診断された。ステロイドを服用するなどの治療を試したが効果はなく、体調も崩し、治療をやめた。半年で髪の毛の量は3分の1ほどに。2人の幼い娘の子育てで外に出ることも多く、最初は帽子をかぶったが、屋内では外さなければならない場面も。ウィッグも考えたが高額で手が出にくい。人の目が気になり、「自分の外見を見せてはいけない」と感じるようになった。徐々に外出が減った。

 その年の秋ごろ、同じ脱毛症の米国人女性が、頭にスカーフを巻いた姿をブログに載せているのを見て、角田さんもまねしてみた。友人から「すごく可愛い」「おしゃれだね」と言われた。「ほめられるとうれしい。おしゃれをして、きれいになることで生活が楽しくなった」。スカーフに合う服選びなど、再び外に出たいと思うようになった。

 自分の気持ちが前向きになり、脱毛に悩む女性の力になりたいと考えるようになった。ヘッドスカーフの製作・販売を思い立ち、15年に県内の起業塾に参加して具体的な計画を練った。頭皮に触れる裏地には、県産の絹を使う。安中市の製糸場が作る絹は、肌触りや通気性が良く、製糸工程で防腐剤を使わないため肌に優しい。表地は丈夫なポリエステル。

 起業資金は、インターネットで募るクラウドファンディングで集めた。3カ月ほどで目標を上回る約250万円が集まった。だが、縫製を東京の約10社に依頼したが、布や絹の基礎的な知識が足りず、商品開発の経験も乏しい角田さんは相手にされなかった。

 そこで、織物の町として栄えた桐生市の縫製会社の社長に相談すると、じっくりと計画を聞き、引き受けてくれた。社長は「絹製品を縫うのは非常に難しい。会社にはそのノウハウがあったし、なぜスカーフを作りたいのかを話す角田さんの熱意に打たれた」と振り返る。

 16年9月、同市に「Armonia(アルモニア)」を設立し、ネットを中心にスカーフの販売を始めた。アルモニアはイタリア語で「調和」。「社会が様々な個性を受け入れて調和してくれるように」との願いを込めた。

 脱毛症患者のほか、抗がん剤で髪の毛を失ったがん患者の家族が買うケースが多いという。購入者からは「こういうのが欲しかった」「かわいい」などのメッセージをもらった。角田さんは「脱毛に悩む人が、脱毛を個性として生きるための手助けに、スカーフがなるといい」と期待する。

 スカーフは頭の形になっており、かぶって後ろをシュシュで縛るだけ。4種類で価格は各1万1800円~1万3800円(税込み)。購入は、同社のホームページ(http://scarf.co.jp別ウインドウで開きます)で。(丹野宗丈)