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 東シナ海の海洋権益をめぐり、日本と中国が静かに火花を散らしている。中国は自国の大陸棚が尖閣諸島(沖縄県)近海まで続いていると主張し、海洋調査を繰り返す。日本も調査態勢を強化する中、韓国が島根県の竹島(韓国名・独島〈トクト〉)周辺で調査を実施するなど、摩擦が広がっている。

 19日、自民党本部で開かれた「領土に関する特命委員会」。新藤義孝委員長は日本の排他的経済水域(EEZ)や領海で活発化する中韓の動きについて、こう語った。「中国の海洋調査船も5月に入ってきた。韓国も(竹島周辺で)海洋調査をやった。中国は無人飛行機ドローンも飛ばした。しっかり対処していかなければならない」

 尖閣沖の領海に侵入した中国公船の甲板付近で無人飛行機ドローンの飛行が初めて確認されたのが18日。中国はこの海域への公船や海洋調査船の派遣を繰り返す。17日には竹島近海で、韓国の海洋調査船が日本の領海内に一時侵入した。

 こうしたせめぎ合いのなか、日本は海洋調査の態勢強化を進めつつある。

 今年1月20日朝、北九州市の第7管区海上保安本部。長崎県・五島列島沖に投入した無人の海洋観測装置(AOV)のトラブル信号が飛び込んできた。秒速20メートルの強風が吹き、波は4~5メートル。通信衛星を経由した遠隔操作を繰り返したが、「制御不能だ」。7管が翌21日にAOVを回収してみると、ケーブルがちぎれ、推進機の水中グライダーがなくなっていた。

 昨秋にも沖縄の1基が台風のさなかに壊れており、海上保安庁は腰を据えて改良に取り組むことにした。今年2月に全調査海域で運用を停止。半年近くかけて構造強化や悪天時の機動性を改善してきた。今月末から順次、運用を再開する。

 AOVの運用は昨年9月から、五島列島のほか八重山諸島(沖縄県)沖の東シナ海などで始まった。海流や海水温などを自動で観測するが今年、新たな役割が追加された。最も潮が引いた時の海岸線「低潮線」の観測。領海やEEZを線引きする基準となる。

 従来は航空機によるレーザー測位などで調べてきたが、AOVの導入によって、国際機関が勧める継続的で信頼性の高い調査が可能になる。海保の関係者は「科学調査のためのツールから、海洋権益を守るツールに昇格した」と語る。

 きっかけは中国の動きだ。2012年12月、資源開発が可能になる大陸棚を東シナ海に設定し、境界を沖縄トラフまでとする延伸申請を国連大陸棚限界委員会(CLCS)に提出した。日本が尖閣諸島を国有化したばかりの時期。中国が示した線引きは日本のEEZに入り、尖閣諸島を包む。

 CLCSが実質審議に移らないよう、日本政府はすぐに異議を表明した。外務省は「審議が行われることは想定されない」との見解を示す。

 一方、中国の海洋調査船派遣はさらに活発化。国連海洋法条約に基づく日本の事前同意を得なかったり、同意と異なる海域で活動したりする「特異行動」を取った調査船は、15年に延べ22隻、16年は11隻に及んだ。関係者は「彼らが地質調査をしていることがうかがえる」と指摘する。

 こうした動きに対抗するため、…

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