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 筑波大学の国際統合睡眠医科学研究機構(茨城県つくば市)は、睡眠障害の治療薬となりうる有機化合物の効果を動物実験で確認したことを、米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(オンライン版)」に発表した。治療薬が実現すれば、時差ボケやシフト勤務による眠気改善などにも使える可能性があるという。

 同機構の柳沢正史機構長(57)は1998年、脳を覚醒させる脳内物質「オレキシン」を発見。昼間に突然、眠気に襲われる睡眠障害「ナルコレプシー」は、オレキシンを作る神経細胞がなくなっているために起きることを突き止めた。

 オレキシンは高分子のため、飲んだり注射したりしても脳まで運ばれない。そこで同機構の長瀬博教授(69)らは2015年、オレキシンと同じ作用を脳に与える低分子の有機化合物の合成に成功。経口や注射による投与を可能にした。

 今回、この化合物を、チョコレートを与えると睡眠障害の発作を起こすようにしたマウスに注射したところ、投与してから3時間程度は症状が抑制されることを確認した。健康なマウスに投与すると覚醒時間が延長された。また、睡眠障害は体重増加を招きやすいが、14日間連続投与したマウスでは、体重増加が抑制されたという。

 柳沢機構長は「この有機化合物をさらに改良したうえで毒性や副作用などを調べ、数年以内に人間を対象にした治験に取りかかりたい」と話した。治療薬ができれば「ナルコレプシーだけでなく、シフト勤務による眠気や薬の副作用による過剰な眠気などにも効く可能性がある」という。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(三嶋伸一)