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 全国47都道府県と20の政令指定都市のうち、災害時の行方不明者の氏名公表について、基準を設けていない自治体が7割に上ることがわかった。改正個人情報保護法の30日施行に合わせ、朝日新聞が各自治体にアンケートした。氏名を「公表しない」という回答も5自治体あった。

 不明者の氏名公表については自治体によって判断が異なり、公表しないことで安否確認に時間がかかったり混乱を招いたりしたことがあった。

 基準を設けているのは栃木県、鳥取県、高知県、横浜市、相模原市、静岡市の6自治体。栃木県は「県審査会の意見」、鳥取県は「県地域防災計画の個人情報の取り扱い方針」にそれぞれ照らして判断するという。一方、「災害ごとに対応を検討する」といった理由で基準を「設けていない」との回答が48自治体。「その他」が13自治体だった。

 自治体がもつ個人情報を提供するには本人の同意が原則必要だ。多くの自治体は条例で「人の生命、身体、財産の保護のために緊急に必要があるとき」は例外として同意なしでの提供を認めている。

 「公表しない」と回答したのは青森県、宮城県、石川県、名古屋市、岡山市。「災害に紛れてDV(家庭内暴力)被害者を探し出すような例も考えられる」(岡山市)などとしている。一方、4自治体は「公表する」。横浜市は「影響が大きい災害が発生した場合、社会不安を抑制することが公益上特に必要があると判断し、原則公表する」と回答。ほかは「条件つきで公表」「その他」だった。

 改正法は個人情報の範囲を広げ、保護規制を一部強化した。日本新聞協会は29日に発表した声明で「社会全体にさらなる萎縮効果を及ぼし、『匿名社会』の深刻化につながるのは必至」と懸念を示した。改正法で、報道機関は引き続き法規制の「適用除外」とされている。(川本裕司