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 2016年のノーベル文学賞を受賞した米国人ミュージシャン、ボブ・ディランさん(76)が5日、受賞者に課せられた「業績にまつわる講演」を動画投稿サイト「ユーチューブ」などネット上に発表した。

 4日に米ロサンゼルスで録音されたものだという。27分余りで動画はない。

 ディランさんは、ゆったりとしたピアノ曲の中で、自らに影響を与えた米国人歌手バディ・ホリーや、古代ギリシャのホメロスの叙事詩「オデュッセイア」、メルビルの「白鯨」、レマルクの「西部戦線異状なし」といった著名な物語を挙げて、自身の歌と文学とのつながりを考察した。

 その上で「もし一つの歌があなたを感動させるのなら、大事なのはそのことだけだ」「私はいろんなことを自分の曲に込めてきた。だが、何を意味するか気に病むつもりはない」と告白した。そして「私たちの歌は、生ける者の世界に生きている。文学とは違う。読まれるのではなく、歌われるべきだ」と述べ、「コンサートでもレコードでも、歌詞を、意図されたそのままに聴く機会を持ってほしい」と語った。

 ディランさんが文学賞の賞金800万クローナ(約1億200万円)を受けるには、昨年12月10日の授賞式から6カ月以内に講演を行う必要があった。期限は10日に迫っていた。(ロンドン=渡辺志帆