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 認知症の人が徘徊(はいかい)しても早く見つけられるように、その人の緊急連絡先などがわかるQRコードを印刷したシールを奈良県橿原市の介護事業所が製薬会社と協力して開発した。名付けて「おかえりシール」。ばんそうこうのように体に直接貼れるのが特徴だ。

 開発したのは居宅介護支援事業所「実生イーライフ」を運営するケアマネジャーの小林孝博さん(49)。2015年から自治体や個人向けに販売する。

 小林さんは介護施設でケアマネとして十数年勤めた。徘徊する認知症の人を家族がさがす様子を何度も見てきた。家族が身元の分かるカードを作ったり、GPS端末を準備したりしても、本人が持たずに外出することも多かった。

 「ばんそうこうのように体に貼れるものなら」と考えたことが、開発のきっかけになった。高取町の共立薬品工業に相談し、シールを開発した。

 シールは50枚セット(税別3500円)。最初にスマートフォンなどでQRコードを読み取ると、登録の画面となり、本人の名前、緊急連絡先、緊急連絡先となる人の名前、住所などを登録。その後は、同じQRコードを読み取れば、登録した情報が画面に表示される仕組みだ。シールを一度貼り付けると、1週間程度ははがれにくいという。

 橿原市の男性(73)は、3年前に認知症と診断された妻(71)のためにおかえりシールを使っている。妻は昨秋ごろから1人で外に出たがるようになった。以前は連絡先を書いたカードを作り、かばんに忍ばせていたが、かばんを必ず持って出るとは限らないため不安があった。

 シールのことをニュースで知って購入。妻の首筋やかばんに貼っている。「シールについて多くの人に知ってもらい、いざという時は力を貸してほしい」と話す。

 明日香村はシールをまとめて購入し、希望する村民に無料で支給している。健康づくり課の吉川公二課長は「認知症の人でなくても、外出先で倒れたときにシールを貼っていれば、身元がすぐに分かる」と導入の理由を説明する。

 問い合わせは実生イーライフ(0744・35・2680)へ。(田中祐也)