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 「猫さん」という呼び名は、岐阜県の政界関係者には特別に響く。当選12回、猫田孝県議(77)のことだ。自民党が衆参の議席を独占する「王国」で県連幹事長を通算10年以上務める重鎮。選挙制度や社会構造が変化するなかでも力を保ってきた土着の権力だが、果たして、今後は――。

 「43年やったらね、そら若い人は文句言えない。国会議員でもおらん」。取材に応じた県議会の「議長応接室」は、現職議長ではなくほぼ猫田氏専用。ここでの「ご説明」が、予算編成期の県の慣例だ。

 衆院選に小選挙区制が導入されて21年。公認権を握る党本部の国会議員への統制は強まった。一方で、選挙戦を支える地方組織の重鎮は「半独立」の存在だ。

 猫田氏を有名にしたのは2005年の郵政選挙。当時の小泉純一郎首相は、郵政民営化法案の採決で造反した議員を公認せず「刺客」を送った。当時も県連幹事長だった猫田氏は造反組の野田聖子氏(56)ら3人を「県連公認」で支援。責任を問われ、衆院選後に離党を余儀なくされた。

 「間違っていなかった」と猫田氏は振り返る。離党後も県議会の自民系会派にとどまり、翌06年には会長に就いた。第1次安倍政権下の07年1月に復党。08年には県連幹事長に復帰した。「安倍さんが首相になる前に飯食ったことがある。あんときはかわいいもんやった」

 派閥領袖(りょうしゅう)とのパイプもある。同い年の麻生太郎副総理とは党青年局の活動で知り合って約35年。「太郎ちゃん」「猫ちゃん」と呼び合う仲という。昨年、石破茂・前地方創生相が参院選応援に来ると、県議会本会議を抜け出して同席し、顔を立てた。

 猫田氏主導で県議会は13年、古田肇知事=4期目=の反対を押し切り、県の指定金融機関を十六銀行(岐阜市)から猫田氏の地元の大垣共立銀行(大垣市)へ変えた。剛腕ぶりを、県議仲間は「『陰の知事』以上」と半ばあきれて評する。

 権力を下支えするのは地元経済界だ。猫田氏が代表を務める自民支部には西濃運輸やイビデンなど大垣市に本拠がある企業が献金している。「大きい会社がたくさん。財界がまとまっている」。自身の「金脈」の仕組みを解説する。

 「道路造ってくれ、川を直してくれといった陳情があるが、僕は必ずそれをやる」。地元への利益誘導を、むしろ誇る。印象に残る首相は田中角栄。「強引だけど、日本のためによくやった」。県議会は自民が7割を占めるが、「少数会派も尊重する」「強引な進め方は少ない」と他党県議の受けは悪くない。

 安倍政権に対しても臆すること…

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