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 陸上男子100メートルと200メートルで、2008年北京五輪から3大会連続で金メダルを獲得し、8月のロンドン世界選手権を最後に引退を表明している30歳のウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、母国でのラストランで優勝した。「レジェンド(伝説)」の走りも、あと3大会で見納めだ。

 ジャマイカの首都キングストンで10日にあった大会で、ボルトは「英雄に敬礼」と銘打たれた100メートルの特別レースに出場した。アンドリュー・ホルネス首相や国際陸上競技連盟のセバスチャン・コー会長が見守るなか、10秒03(追い風0・2メートル)で勝った。レース後は、数多くの伝説を打ち立てたボルトをたたえる花火も打ち上げられた。

 スタートで出遅れ、自己ベストの9秒58にはほど遠かった。「これまでで最もひどい内容の一つ」とボルトは振り返ったが、100メートルは今季初戦ということもあり、あまり深刻ではない様子。それよりも、駆けつけた3万人超の観客に胸を打たれたようで、「100メートルでこんなに緊張したことはない。ここまで陸上で成功できたのは、ジャマイカの人々のおかげ」と地元メディアに語った。

 今夏の世界選手権が「最後のレース」と明言しているが、一時は辞退もうわさされた。北京五輪の男子走り高跳びで銀メダルを獲得したジャーメイン・メイソン(英)が4月、キングストンでオートバイの事故に遭い急死。親友を失ったショックで、ボルトは約2週間半、トレーニングに打ち込むことができなかった。

 それだけに、今回のレース出場は関係者やファンを安心させた。この後は6月末にチェコで開かれる大会と7月のモナコでの大会に出場し、最後の舞台のロンドンへ向かう予定だ。

 引退後の人生については「後進の育成に関わる」と話す。ただ、「レジェンド」へ様々なことを期待する声は高く、政界進出の可能性も話題に上がる。本人はロイター通信に、「政治には興味がない。政治からはできる限り遠いところにいたい」と語っているが、引退後もその動向に注目が集まりそうだ。(遠田寛生)