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 ニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)で、コムデギャルソンのデザイナー、川久保玲の作品展が開かれている。服飾部門の年間のメイン企画で、1983年のイヴ・サンローラン展に次いで、存命のファッションデザイナーの個展としては2人目。今も前衛派として世界的に知られる川久保の約40年にわたる創作の軌跡を示す、興味深い展示になっている。(編集委員・高橋牧子)

 川久保玲は展覧会の内装のデザインを自ら担った。その狙いや展覧会にかける思いとは。5月の内覧会を前にニューヨークで聞いた。

     ◇

 ――なぜご自分で内装を?

 「この企画展の話を頂いた時に、回顧展という扱いではなく、またファッションデザイナーの一般的な展覧会のような展示ではない見せ方ができることを条件に受けたからです。キュレーターが提示した“間”というテーマは私のものではないのですが、私はただ服をすぐそばでみてもらいたかった。服と対話ができる位置関係を作りたかったのです。内装だけは自分でやれて、望むイメージを作ることができたと思います」

 ――服作りの中で“間”という概念はないと?

 「ええ、全く意識していません。学芸員やジャーナリストの方たちはよくそんな風にテーマ分けして解釈しますが、私は今までにないものを作ろうとしているだけ。男と女の間とか、東と西の間とかは関係ないですよ。ただ、テーマに基づいた展示と内装を同時進行した結果、展覧会がひとつにまとまったとは思います」

 ――ご自身にとってこの展覧会の意義とは。

 「もし、後に、作ったものをまとめて人に見て頂く機会があった場合に、私が見て頂きたいある程度の形のお手本になればと。コムデギャルソンの考え方と全然違う形でまとめられると困るので」

 ――METという保守的な場所でそれに相反する前衛派の作品が展示されることについては?

 「うちみたいな裏街道を走っているものが、メインを走る伝統的なところと関係性を持つことに意味があるのでは。昔からの考え方を守っている人には、拒否反応があったと思う。キュレーターの方もその説得に苦労なさったと聞いています。40年くらい仕事をしていて、多くの人に素晴らしいと認められたことはない気がしますから」

 ――そうは思いませんが。

 「いつも半分の人たちには歓迎されなかった。日本の中でも、百貨店ではいまだに海外ブランドが並ぶ場所に日本のブランドが入ることは少ない。その意味でもやってきたことが少し理解されかけたかな、とは思います。歴史に沿って伝統と権威を守っていこうという生き方の価値観と、人と同じことはノーというコムデギャルソンの価値観は対照的です。それをひとつにするのに、40年もかかったのだという気持ちが自分にはあります」

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