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 豊洲か、築地か――。市場の移転延期を表明してから約10カ月。小池百合子・東京都知事が20日に出した答えは、豊洲と築地の「両立」だった。知事の決断を待ち続けてきた業者や地元住民からは、困惑する声が上がった。

 早朝から競りでにぎわい、昼どきには多くの観光客でごったがえす東京・築地市場。水産仲卸社長の三浦進さん(69)は小池知事の決断について話した。「豊洲の風評はぬぐえず、アクセスも悪い。移転すれば大半の顧客が離れてしまう」。豊洲の安全性や使い勝手に納得できず移転に反対してきた。「築地でも商売は厳しくなる一方なのに、零細な仲卸が豊洲で何年も持ちこたえられない。みな、倒産してしまうよ」とつぶやいた。

 一方で、築地を手放さず活用する方針を評価する声もある。移転に反対する水産仲卸社長、宮原洋志さん(66)は「築地のブランド力評価はうれしいし、場所さえ残れば。豊洲に行かず再整備の目もまだあるのではないか」と前向きだ。

 豊洲への移転賛成派も、不安を口にする。移転延期中も月100万円単位の電気代がかかる「豊洲冷蔵庫」の新設に70億円かけた水産卸「ホウスイ」専務の中島廣さん(69)。5年後には仲卸など希望する業者は築地に戻れるようにするという案に「市場は卸と仲卸が一体でないと機能しない」。不明確な市場の将来像に疑問が膨らむ。東京魚市場卸協同組合の早山豊理事長(66)は「事業者の中には築地がいいという人が多数いる。まだ十分受け止めきれていない」と困惑する。

 水産仲卸専務の伊藤晃彦さん(47)は3代目社長の兄と共に豊洲の先進的な市場機能に期待し、未来を委ねるつもりでいた。「築地のブランド力を強調する一方、豊洲は物流センターのイメージを植え付けかねない。これでは豊洲に移っても、目利きでつかんだ僕らの顧客は離れる」と話す。

 築地市場協会の伊藤裕康会長は小池知事に理解を示した。「やっと答えが出た。風評被害の払拭(ふっしょく)に努めるとはっきり言われ、十分評価出来ると思う」

 協会はこれまで、豊洲移転に向けた準備を進めてきた。伊藤会長は「豊洲に行ってもさらなる信頼の増幅に向けて努力していく」と意気込む。だが、5年後に築地に市場機能を持たせて活用するという基本方針については「さっぱりわからない」。協会の泉未紀夫副会長は、仮に築地にも市場機能を持たせるとしたら、豊洲市場を経由することで輸送コストが2倍になるといい、「コスト増は仲卸や卸が負担することになり、現実的に難しいとしか言いようがない。豊洲と築地、二つの市場は成り立たないのではないか」と疑問を口にした。(西本ゆか、阿部朋美)

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