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 日本の土地制度は「土地神話」に支えられ、資産価値を失わない前提でつくられている。「捨てる」ことは想定されておらず、相続放棄しても、そのまま国や自治体が引き取ってくれるわけではない。処分に困る土地が増えていることは、土地制度自体が曲がり角にきていることを意味する。

 国土交通省によると、地価指数は11年を100とした場合、16年は93・4に低下。不動産市場が活況なのは五輪を控えた東京の都心部など一部で、同省の土地問題に関する意識調査で、「土地は預貯金や株式に比べて有利な資産だと思う」という人は30・1%と、約20年前から半減した。

 資産価値が下がると、お金を払って相続登記する動機がなくなり、放置されやすくなる。放置が何十年も続くと相続人が増え、相続や売却はますます難しくなる。こうした物件の増加は、防災や街づくりに支障を来したり、中山間地で鳥獣被害や森林機能の低下を招いたりする。

 政府は、所有者不明の土地を公共利用できる制度の検討を始めたが、不動産登記や相続、固定資産税などさまざまな制度の見直しも迫られそうだ。(大津智義、吉田美智子)